「窓展」の後はいつものように常設展を観たのだが、3階の日本画のコーナーで特別展を行っていた。
鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開 | 東京国立近代美術館
東京神田に生まれ、挿絵画家として画業をスタートさせた鏑木清方(1878-1972)は、美人画で上村松園と並び称された日本画家です。今年、当館では、清方の代表作として知られながら、1975(昭和50)年以来所在不明であった《築地明石町》と、あわせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》の3点を新しく収蔵しました。これを記念し、三部作のお披露目と、所蔵の清方作品をあわせた特別展示をおこないます。小規模ですが、重要文化財《三遊亭円朝像》や12幅対の《明治風俗十二ヶ月》など、粒よりの名作が並ぶ贅沢な展示です。
別料金でかなりの人が出ている。日本画は保管が難しいため、常設で長期間の展示ができない。そのため今回のような44年ぶりの公開となるとファンが集まるということのようだ。
そしてこの「築地明石町」である。
もう身震いするほどに美しい。ごった返す鑑賞客のやや後方から長い時間観ていると、なんだか目頭が熱くなってくる。絵を観て涙が流れるのは久々のことだ。
この絵は「新富町」「築地明石町」「浜町河岸」の三部作となっている。今回の展示では三作を同時に展示している。
ちなみにこの三作品を近代美術館は一括購入したとかで金額は5億4000万円という。高額といえば高額ではあるが、こうした文化財に金を使うのはまったく問題ないし、近代美術館では丁寧に保管されていくのだろうし、この作品にとってもいいことだったし、自分たち美術ファンにとってもある種の僥倖かもしれない。
この特別展示、できればもう一度きたいと思い、いつまでかを監視員に訊ねると、なんと明日15日までとのこと。ある意味ラッキーだったと思う。さらにいえば2022年春に近代美術館では鏑木清方の大回顧展を予定している。3年後のお約束という案内が出ていた。次にこの「築地明石町」に会えるのは3年後のこと。出来れば生きていたいと思う。
「築地明石町」の44年ぶりの発見と近代美術館の購入にまつわる記事は、このサイトが詳しい。