ユニクロのレジ

Twitterのタイムラインに流れてきた記事。

 最近のユニクロのセルフレジである。これはもう画期的といっていいと常々思っている。記事の画像にあるとおりで、商品のタグの読み取りを自動的に行う。

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 左の黒いのはクレジットカードの読み取り端。商品をカゴごと右のくぼみにおけば、瞬時に商品のタグを読み取って中央の画面に購入商品が表示され、そのまま決済に進む。支払いを現金にするか、クレジットカードにするか選ぶだけ。このセルフレジの後ろにはサッカー台があり、顧客は自分で購入した商品を袋詰めする。簡単極まりない。

 相当な技術力かと思いきや、これがけっこう簡単なものらしい。商品タグには無線自動識別RFID)が付されていて、これをシステムで読み取る。隣の顧客の購入商品を読み取らないのかというと、このくぼみの中に「電波吸収層および電波反射層を設けることで、電波の放出を極力抑える」のだという。世の中はここまで進んでいる。

 この記事によるとこの技術の特許をもつ会社がファーストリテイリングを特許侵害で訴えているのだという。多分、特許使用料は莫大になるだろうし、記事によるとこの特許が思いの外簡単で汎用性があるため、ファーストリテイリングは侵害にあたらないと主張し、今後は法廷闘争になるのだとか。まあ多分落とし所は金目ということになるのだろう。

 訴えている大阪の会社アスタリスクの特許は記事によるとこういうものだ。

の一つとして同社が挙げているのは、特許第6469758号「読取装置及び情報提供システム」である。同特許は、17年5月9日に出願され、19年1月25日に登録された。

同特許の内容を大ざっぱに紹介すると、商品または買い物かごを置く空間(同特許では「シールド部」と記述)の上面が開口しており、側面や底面に電波吸収層および電波反射層を設けることで、電波の放出を極力抑えるというものだ。これによって、シールド部の外にある商品の誤検出を防げるので、複数のセルフレジを比較的短い間隔で設置できるようになる。 

 このシステムはかなり汎用性が高い。スーパーで無造作に買い物カゴにいれた様々な商品を瞬時に読み取り会計となればこの利便性は相当に高い。

 技術力の進歩と読み取り機器の進歩によっては、将来的にはより安価に導入が可能かもしれない。しかし、そこにはこうした知財を駆使した特許ビジネスも生まれてくる。アイデアを生かして特許ライセンス供与を商売にする。ここは従業員100人以下ということで、まさにアイデアで食っている会社なのだろうと推測する。

 こうした特許ライセンス供与を商売の柱にしている企業も多数あるだろうと想像する。当然のごとく、企業の保有する特許ライセンスに着目している投資家も多数いるだろうとも思う。IT技術万能の時代、システムの汎用性を支えるのがちょっとしたアイデアであったりすることは多々考えられるだろうとも。

 もはやビジネスとしてはあまり発展性がない出版業界であっても、この無線自動識別タグを商品(=出版物)に貼付できれば、大掛かりな読み取り装置など必要なく仕分けや集約が可能になる。考えてみて欲しい。今現在、出版倉庫や取次では沢山の本をベルトコンベアに流し、本の裏にあるバーコードを読み取って伝票起票し、行先別の仕分けや、種別ごとの仕分けを行っている。

 もしもだよ、例えば取次からパレットやダンボールで返ってきた混載された返品をそのまま瞬時読み取ることができたら。まああり得ない設定ではあるけど、もうこれは革命的だ。まあ結局というか、とどのつまりはかけていた人出が圧倒的に省力化されるということだけなんだけど。