西洋美術館常設展

 松方コレクションを観た後は、時間が少しばかりあったので常設展を観る。

 最初にこの吹き抜けの19世紀ホールのスローブを車椅子を押して登っていくのだが、必ず監視員の女性が「お手伝いをします。係の者が参りますので少々お待ちください」とマニュアル通りの対応をしてくれる。とはいえこのくらいのスローブは車椅子を押して行くのはさして苦労でもないので、丁重にお断りをすることにしている。監視員の側からすれば、何か事故があった場合の責任もあるので、なんども「お待ちください」と言ってくれるのだが、こちらは「もう何度も来ていますから」とある種振り切って登ってしまう。館側からすれば困った客なのかもしれないけど、まあ今のところはなんとかなっているし、いいのではないかと思う。

 とはいえ、車椅子を押しながらなんとなく「コルビジェめ」みたいなことを呟いているのも事実ではあるけど。

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 常設展では前回もそうだったけど新収蔵作品とかに目を惹かれる。

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ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》

 この作品は西洋美術館で開かれたクラーナハ展の時には貸し出し展示もなかった作品だとか。とにかく16世紀という時代にこんな作品が描き出されることにいつもながら驚きを感じる。そしてクラーナハのちょっと中性的かつロリっぽい女性、それでいて冷たい視線に、なんというかクラーナハの女性観の一旦を垣間見るような気がして。

 その他の作品ではこれなんかに興味がいった。

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洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ

 イタリア・ルネッサンスを代表する画家の一人ティッツィアーノの工房の作品とされるもの。同じモチーフでありながらモローの描くサロメはえらい違いである。なんか不謹慎だけど、市場で首買ってきましたみたいな感じ。サロメも豊満で庶民的なおかみさん的風情がある。密かにサロメ太腕繁盛記と命名している。

 その他ではフィンランドの女流芸術家の作品展も行われている。

モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

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