「Fly me to the moon」のことをもう少し思いつくままに。
Fly me to the moon By Astrud Gilberto
この曲は兄が持っていたシングル・レコードで聴いたのだが、確かA面が「アルアンダ」でB面がこの曲だったと記憶している。A面ももちろん聴いたけど、小学生だった自分はなぜかB面のこの曲に心が動かされた。
それからは折に触れて聴いていて、中学生になると歌詞を訳したりもした。簡単な歌詞だったから中学英語でもなんとかなった。元々のタイトルは曲の中にもあるけど「Other words」ということらしい。直訳すれば「他の言葉でいえば」とか「言い換えれば」とかになる。中学生の頃はそんな風に理解してたけど、もう少し理解が進めば「つまり」とか「要するに」、「早い話」とかそういう風になる。
最後の「In other words:I love you」は「だから、好きなの」くらいの雰囲気かもしれない。
Fly me to the moon
Let me play among the stars
Let me see what spring is like
On a-Jupiter and Mars
In other words: hold my hand
In other words: baby, kiss me
Fill my heart with song
And let me sing for ever more
You are all I long for
All I worship and adore
In other words: please, be true
In other words: I love you
この歌は50年代に作られた3拍子のスタンダード・ナンバーでペギー・リーなんかが取り上げていたそうな。それをジョニー・マティスが演奏した時に今のタイトルとなり、さらに1962年、ジョー・ハーネルが4拍子のボサノバ調にアレンジした。時代的にはちょうどボサノバがアメリカに上陸した頃になる。
そして1964年、フランク・シナトラが取り上げて大ヒットした。ちょうどアポロ計画で月に人類が行くという夢が急激に現実化していた頃である。そうした風潮にキャッチャーなタイトルのこの曲を取り上げたところがシナトラらしいといえばその通りということになる。
まあこのへんはウィキペディアに詳しく書いてある。
その後もスタンダード・ナンバーとして多くの人に取り上げられている。最近の人でいえばダイアン・クラールとかも演ってるし、聞けば日本でも松田聖子や宇多田ヒカルも取り上げているのだとか。
しかし、自分にとってはこの曲はアストラッド・ジルベルト一択である。かれこれ50年近くずっと聴いてきた。そして多分これからもずっと聴いていきたい。あの気だるいウィスパー・ボイスを死ぬまで聴いていたい。