トッド・ラングレンのライブを観てきた。
暮れだか年明けだったか、ライブが発表になったので、友人とどうするみたいな話をしてそのままになっていた。で、だいぶ経ってからチケットとってないの気がついて慌ててとったので、席はあんまりいいところじゃなかった。3階席の一番後ろの方。
まず場所がすみだトリフォニーホール。どこ?みたいな感じ。なんとなく墨田区なんで都電でも乗っていくのかみたいな感じ。事前にチェックすることもなく、数日前に調べたら錦糸町の駅近くということがある。錦糸町、秋葉原の少し先、ここに本屋あったか、営業で来たことがあったかどうかとしばし考えるが思いつかない。30年近く前に他社の営業と一緒に飲んだくれたことがあったような気もしないでもない。
で、降り立つとスカイツリーまで徒歩20分の表示がある。都内の東の方の位置関係に疎いのだが、そういう場所のようで、スカイツリーもかなり大きく見える。お上りさんなので一応写真など撮ってみる。
どことなく三丁目の夕日っぽい風情でもある。うん十年もしたら平成を懐古してこういうセットもしくはCGで映画とか出来るのかもと思ったりもしてみる。
会社を4時半くらいに出たこともあり、開演まで時間があったので少しガソリンを入れてみる。
サービス期間中とかでハイボールが1杯250円くらいだったか。2杯飲んで30分くらいで1000円と少しだったか。勢いがつく。
すみだトリフォニーはクラシックとかをメインに据えたホールでビルの中にある。
案の定、席はえらく後ろ。まあそれほど大きな器ではないので、観にくい訳ではないのだが、傾斜があっても前の人が身を乗り出すと舞台上を観るのがしんどくなる。こういうのは席の構造なのか。
そしてトッドである。今回は12月に上梓した自伝のプロモーションを兼ねたワールドツアーだという。名づけて「Todd Rungren The indiviualist tour」。個人的ツアー、自伝的ツアーみたいな感じか。彼の50年にのぼるキャリアーを振り返るようなライブになっているようで、懐かしいヒット曲満載のライブ。
とにかく開始と同時に70年代のお馴染みのヒット曲が並ぶ。曲とともにバックの画面に彼の懐かしい写真、彼が一緒に仕事をした著名なミュージシャンとのスナップなどが、次々に映し出される。まさしく曲と共に彼のキャリアを振り返る演出となっている。
トッドは体調も良いようで、アンコールを含め23曲を熱唱した。途中15分のインターミッションが入り、第2部に入る前にトッドが通訳の女性を連れて舞台に戻り、ビデオで事前に録画されあファンからの質問に答えるQ&Aコーナーがあるなどご愛敬タイムも用意されていた。ちなみ好きな映画5本をあげてという質問の最初にデヴィッド・リンチの「イレイザー・ヘッド」を挙げていた。
2時間強のライブに15分の休憩、ポール・マッカートニーが3時間近くのライブを出続けで行うのに比べると、どうかな~と思う部分もないではないけど、トッドも1948年生まれの70歳、6月には71歳となる。それを思うと休憩タイムは致し方ないかとなる。まあ聴いてる側も還暦前後ばっかりなんだから、この休憩は観客への配慮もあるかもしれない。
バックバンドは5人編成。
g )Jesse Gress
ds ) Prairie Prince
b ) Kasim Sulton
Key ) Greg Hawkes
Sax )Bobby Strickland
みんなトッドとは古い付き合いのようで、カシム・サルトンやジェシー・グレスはユートピアからの仲間でもある。
セットリストは調べてみると割と簡単に見つけることができた。なにか事前に決まっていてアップされているようだ。
第一部
1.I Think You Know
2.Open My Eyes
3.Hello It's Me
4.We Gotta Get You a Woman
5.I Saw the Light
6.Black Maria
7.An Elpee's Worth of Toons
8.Sometimes I Don't Know What to Feel
9.Too Far Gone
10.A Dream Goes on Forever
11.The Death of Rock and Roll
12.Can We Still Be Friends
13.Real Man
14.Love of the Common Man
15.Couldn't I Just Tell You
16.Fair Warning
(インターミッション)
第二部
17.The Individualist
18.Black and White
19.I Don't Want to Tie You Down
20.Determination
21.Cliché
22.Drive
アンコール:
23.The Want of a Nail
画像はネットからの拾いものだがこんな感じだったか。
個人的には第一部の怒涛のヒット曲にもう気持ちが昂るという感じ。最初から大好きな「Hello It's Me」「We Gotta Get You a Woman」「I Saw the Light」と続けざまに来られるともう目がウルウルとしてきた。さらに「Sometimes I Don't Know What to Feel」で「Can We Still Be Friends」と来るのだから。
二部にはビートルズのカバーとか例のモータウン・メドレー("I'm So Proud" ~"Ooh Baby Baby"~"La La Means I Love You"~"Cool Jerk")あたりを持ってこられたもうアウト、さめざめ泣いていたかもしれない。
ある種の懐旧的なライブかもしれないが、キャリアの長いスアーのライブということでいえば、これが観客にも一番あっているのかもしれない。ディランのようにいまだに新しいスタイルを作り上げていくというアーティストもいいが、ファンが求めているのは実は今回のトッドのライブのようなことかもしれない。アーティストが長いキャリアを振り返りつつ、そこに自らの人生やらを共振させるみたいな感じ。長くつきあってきたアーティストだからこそシンクロできるところでもある。
今回のライブは近年幾つか観たライブの中でもベストに近いものがある。出来ればこういったスタイルで再来日して欲しいと思った。いや、本当にトッドのファンで良かったと思っている。