日本VSコロンビア

 勝っちゃいましたね。普通でいえば50回やって1回勝てるかどうかの相手。その1回がまさかのワールドカップ1次リーグの初戦。日本の属するH組はポーランド、コロンビア、セネガル、日本。日本以外どこが勝ち上がってもおかしくない。さらにいえばポーランド、コロンビアは決勝に残っても意外性ないような強豪チーム。もうこの組に入った瞬間から自分の中では日本代表のワールドカップは終わったも同然。まあ良くて3戦全敗、悪ければそのうちの1〜2試合は5点以上の点差つけられてもおかしくないと正直思ってました。
 それがまさかのまさか。かって同じ西野監督が率いる五輪代表チームがブラジルに勝つという快挙を成し遂げたマイアミの奇跡、あれに匹敵するような感じですか。まあこの試合はもう最初の1点、開始2分と少しであげたPKのシーンにつきる。香川があげたロングボールに相手バックスと絡みながら抜け出した大迫がまず素晴らしい。そのシュートはキーパーとの一対一でありながらあっさりはじき返された。それに詰めていた香川のシュートを相手バックスで手で止めた。ペナルティエリア内でのハンドによる相手シュートの阻止に、審判は躊躇なくペナルティポイントを指す。ここまでは当然のことなんだが、この後続けざまに審判は手でとめたカルロス・サンチェスに対してレッドカードを提示した。
 試合が始まったばかり、このタイミングでの一発レッドカードである。審判にとっては大きな決断だったといえるが、決定的な相手シュートを手で止めた行為はまさしく一発レッドである。しかしなかなかこの決断が出来ない場合も多い。そういう意味では、日本の勝利を決定付けたのはこの審判の決断だったかもしれない。
 その後はお約束的にコロンビアがフリーキックから同点に追いつく。しかしあまりにも早い段階で数的少数に立たされたコロンビアは後半に入ってじょじょに疲弊していく。そんなタイミングでのコーナーからの大迫のヘッドによる決勝点は見事でした。
 それにしても名将の誉れ高いアルゼンチン出身ペケルマン監督は大きな采配ミスをした。後半に入ってすぐにあまり調子の良くないエース、ハメス・ロドリゲスを投入した。これは10対11と劣勢にあっても勝ちを狙うのだという意識付けを狙ったのだろう。しかしただでさえ運動量が少なく守備をしない攻撃の天才である。数的劣勢にあって一人一人が倍以上の運動量を要求され、疲れが溜まってくる時期に、この采配は致命的だった。フィールドプレイヤー9人で戦っていたチーム、ハメス投入により全員守備を8人で行わなくてはならなくなった。
 あまりにも早いレッドカードはこのようにして名将ペケルマンの判断をも狂わせたのかもしれない。サッカーの神様は日本に微笑み続けてくれた。
 そんな中ではっきりしたことがある。この試合の功労者は大迫と香川の二人といっていいと思う。後半その香川と交代して入った本田についていえば、やはり動きが鈍く、パスも早くない。運動量が少ないため守備に回ってもおざなりな感じで、香川との動きの差には大きな開きがあった。このチームに彼は必要ないというのがほぼほぼ明確になったのではないかと思う。同様に中盤の守備的MFであり、このチームの精神的支柱でもある長谷部についても、緩慢なプレーやパスミスも多く、年齢面からこのチームで90分仕事をするのは無理があるようにも思えた。先発はやはり柴崎と山口で入った方がいいと思う。ある意味このチームの中心は柴崎ではないかと思う。そのくらい彼の動きには目を見張るものがある。
 しかし日本が勝ったことにより、3強1弱のH組はいきなり混戦模様となってしまった。次のセネガル戦、すでに一勝しているセネガルも早々に1次リーグ突破を決めるべく全力で日本を潰しに来るだろう。セネガルに破れたポーランドはコロンビア戦次第では死ぬ気で日本にぶつかってくるだろう。もしポーランドがコロンビアに敗れれば早々に1次リーグ敗退が決まる。そうなるとモチベーションが下がるかというと、最後に意地を見せるべくとなる。もしコロンビアに勝てば一勝一敗であり日本戦に総てをかけてくる。日本は次のセネガル戦と最後のポーランド戦、奇跡を続けることができるだろうか。