官邸前に行く

 元SEALDsメンバー等が立ち上げた「未来のための公共」が呼びかけた首相官邸前での抗議デモに行ってみた。この抗議行動が行われると知ったのはツィッターで月曜日のこと。我ながらフットワーク軽いなと思ったりもする。
 とはいえ鶴ヶ島から行くのはなかなか難儀なこと。6時くらいに会社を出て、電車を乗り継ぎして有楽町線桜田門で降りて官邸前まで歩く。着いたのは8時少し前くらい。周囲はかなりの人が出ている。先週の国会前よりもはるかに人が多い。やはり若い「未来のための公共」の呼びかけに呼応する人は多いということか。
 ただし人の多さに比例するかのように警察官の数も多い。なんとなく通路側を歩いていて一番先頭のところに加わる。目の前が首相官邸、さらに数メートルのところには若い警官たちの壁があるあたり。大昔だったら、この平装の警官の代わりに重装備、大楯抱えてフルフェイスの機動隊が群なしていて、すきあらば先頭列の抗議側の面々をごぼう抜きしようとしていた。大楯の角で叩かれようものなら、パカっと頭が割れたものなのだ。まあ大昔の話はいい。
 抗議行動が熱くなり、警官に興奮してちょっかいを出すようなおっさんも一人二人いないこともないが、みんな冷静なデモでもある。管理された抗議行動などと揶揄される部分もあるかもしれない。とはいえ今回の公文書改竄問題は本当に大問題である。森友問題は右翼的な教育方針をもつ学校法人に不当に安い国有財産が払い下げされたということだ。そこに一時、開設予定の小学校の名誉校長に現役総理大臣の夫人がついていたということから、総理大臣の影響力によって格安払い下げという便宜供与が行われたのではないかというのが本筋である。
 総理大臣は国会においてそうした影響力を与えたことは一切ないと弁じた。しかし決済文書には総理大臣夫人の影響を意図するような記述が記載されていたが、そのへんがすべて改竄、削除されていた。
 決済文書が改竄されていたというのは大問題である。あったことがなかったことにされてしまうのだ。近代国家においては公文書はすべて保存され、未来の審判を受けなくてはいけない。それを時の権力者によって恣意的に書き換え、改竄が行われてはならない。それは歴史自体を改竄することにつながる。そういう当たり前の思いと危機感から、この場に人々が集まってきたのだと思う。後で聞いた話だが、主催者発表ではあるが、1万人が集まったという。月曜に抗議行動が提起され、雨のウィークデイにそれだけの人が集まってくる。政治的アパシーが蔓延する時代にそれは凄いことだとは思うが、まだまだ足りないのだと思う。
 権力者は時間をかければ逃げ果せると考えている。民衆の怒りは何も変わらないという諦観の中に埋没していくといった舐めきった態度でいる。だからこの抗議行動は持続していかなくてはいけないと思う。