駒場祭


 昨年に続いて2回目。
 子ども入っているインカレサークルの演奏会があるというので、やってきた。まああと1~2回のことだからということだろう。
 駒場周辺で駐車場が少ないので、昨年は周囲をぐるぐるした挙句に渋谷まで戻って、渋谷区役所の駐車場に止めてから電車で向かうなんてことをした。なので今回は電車で行くことにした。そういえば五月の本郷にも電車で行ったっけ。
 まあカミさんが車椅子生活になってかれこれ12年になるので、車椅子での電車移動とかもある意味慣れたものなんだが、電車での移動となるとけっこうストレスを感じることが多い。まずエレベーターがどこにあるかを探すのに時間がかかるし、エレベーターはベビーカーのお母さんたちやスーツケースを転がす海外旅行者が利用するので、順番待ちとなる。そんなこんなで、普通に1時間半から45分くらいで行けるはずのところに、さらに30分以上余計時間がかかる。池袋、渋谷といった大きな駅は改札を出るまで、あるいは改札からホームに上がるまでにかなりの時間がかかる。
 電車も特に山手線は休みといってもけっこう混んでいるから、そうなるとなかなか車椅子のスペースを確保するのも難しい。さらにいえば井の頭線は渋谷にしろ駒場前にしろ、ホームと電車の間にスペースがありすぎる。これ小さい前輪はへたすりゃはまるぞと思ったりもした。
 キャンパス内はさすが日本一の学校だけあってたいへんな賑わい。もう老境にある身としてはこういう喧騒は正直しんどい部分もある。でもいつの時代でも若い子たちの賑わいというのはいいものだと思う部分もある。男の子も女の子もみんな一様に楽しいひとときを過ごしているんだという思い。もっとも本人たちにすれば、自分たちの若さとか諸々に居心地の悪さとかを感じているのかもしれないけど。
 演奏は確か900番教室という小ホールのような大教室で行われる。これも昨年同様だ。開演の45分くらい前にすでに列ができていたので並ぶ。すると10分かそこらでさらに後方まで列がつらなる。多分にこの並んでいる人たちは、みんな部員たちの家族や親類縁者や友人、知人たちなんではないかと勝手に想像。入り口のところの階段からはカミさんの手をひいてゆっくりあがってもらい、そこからは杖で歩いてもらう。車椅子はロビーの端に置いておく。これも昨年同様。
 プログラムは、「ディズニー・ファンティリュージョン!」、「エアーズ」、「キャラバンの到着」、「バレエ組曲『青銅の騎士』より」の4曲。最後の「青銅の騎士」よりプロの客演指揮者の指揮による。まだ指揮の勉強中のようで、市民オーケストラの客演指揮が中心の人のようだが、それでもダイナミックでアグレッシブな指揮ぶりで、なんとなく音が鳴っているような印象がある。やっぱり指揮というのは重要なんだな。
 それに対して学生指揮者の子たちは、みんなとにかく振り間違いのないようにという感じで、本当に一生懸命真面目に振ってますみたいな感じだ。でもみんな可愛いお嬢さんたちだし、その指揮を一生懸命みながら演奏する部員たちもみな真摯な感じでそれはそれで良かったのではとも思う。
 気に入ったのはやっぱりトリの「青銅の騎士」より。他ではやっぱりミシェル・ルグランの「キャラバンの到着」はよく知っている曲だし、ルグランの曲の中でもけっこう気に入ってるので印象に残った。アップテンポのジャズワルツの佳曲、ジャック・ドゥミのミュージカル「ロシュフォールの恋人」の導入部で展開される曲だ。年に一度の祭にショーを行うためにやってきたキャラバン隊の設営をダンスナンバーに仕立てた素晴らしいシーンで流れる名曲中の名曲だ。
 子どもに言わせると、あんまり期待しない方がいいよとのことだったが、どうしてどうして中々の出来だったと思う。とはいえ大学生たちの週2〜3回の練習による演奏なので、コンクールとかを目指すものとは違うものだとは思うが、みんな一生懸命、真面目に取り組んでいるのだけは伝わってくる。誠実な演奏というものがあるとすればそういう性質の音楽だと思う。十分に楽しめた。