神様メール

神様メール(字幕版)

神様メール(字幕版)

  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: Prime Video
 神は存在する。中年の冴えないオッさんで、ブリュッセルのアパートでパソコンの前に座り、悪態をつきながら日々、人々に意地悪をしている。彼の聖書はこのように記される「神は最初にブリュッセルを創りたもうた」。
 この着想が総ての映画。逆にこの着想にストーリーも人物もついていけていない。神さまの家族は、野球カードを集めるのだけが趣味で、夫の神さまに毎日悪態をつかれても何一つ反論することもなく家事に勤しむ女神。父に反抗して家出して、下界で死んだ兄。彼の名前はJC、そうイエス・キリストである。そして同じく父に反抗し、父親からほとんど虐待に近い折檻を受けている10歳の女の子エア。彼女が父親の折檻にとうとうキレて、父親のパソコンを使えない状態にしてから、下界に家出する。その前にパソコンから人類に向けてそれぞれの余命をメールで送る。
 自分の余命が数日、数年、数十年と知ってしまった人々はもうそれまでのような人生を送ることはできないでいる。下界に下り立った女の子は兄がしたように使徒を募り、新・新約聖書を綴るための巡礼を始める。
 面白いことは面白い。とにかく着想が素晴らしい。しかしディティールというか、女の子エアに付き随う六人の使徒の話が今ひとつ。なかには面白いものがあるのだが、なかには微妙なものもありで。
 カトリーヌ・ドヌーブが倦怠期の老婦人役で出ているのがちょっと嬉しい。年取っても相変わらず美しい。ただしゴリラとできちゃうというとんでもない役柄で、そのへんがオイオイもう少し考えろよ、ドヌーブだぞみたいな感もある。
 まあキワモノといってしまえばそれまでだが、面白い映画であることはまちがいない。最近観たものでは出色の出来だとは思う。