東京国立博物館(トーハク)へ行く

 カミさんの装具を引き取ってから、時間が余ったのでさてどうするかということになる。何でも子どもが友だちを連れてきて餃子だかたこ焼きだかを作って楽しむので、出来るだけ遅くに帰ってきてという。望むところである。なので午後3時過ぎから十分時間が潰せるところということで、最早ホームポジションみたいになりつつある上野公園に行くことにする。
 土曜日なので西洋美術館は夜9時までやっている。ゆっくり観ることにするか、それとも他のミュージアムをとも思ったが、すでに東美のボストン美術館展は二度行っている。科博の「深海展」はいつ行っても混んでいるのだが、今日も100分待ちとかいう表示もある。原則、ミュージアムはゆったりと観るものと決めているので、この◯◯待ちはありえない。なので急遽というか一度も行ったのことがない東京国立博物館(トーハク)に行くことにする。ここの平成館は去年だか、一昨年だかに黒田清輝展に行っているが、本館の方は初めてである。

 中に入ると大変重厚な作りの中に古代の埴輪や土器から奈良、平安、安土桃山から江戸期といった編年的な編集で、画、書、仏像や茶器、磁器、武具などが展示されている。ゆっくりと観ていってもこれは一日中楽しめるようなのだが、正直、仏像も茶器、磁器類は語れるべき知識が一切ない。書も残念ながら読めないし、良さを実感出来るものがない。西郷隆盛大久保利通徳川家光や光圀の書とかいうと興味をそそろけれど、やっぱりこれは読めないと面白みが感じられない。漢文や古文の素養に欠けるというのはこういう時に致命的かもしれないなどと思う。
 興味をそそられたのは重文だか国宝だかの一遍上人聖絵。これはこの時期限定の展示なんだとか。確かこれ岩波文庫で同書名のものが出ていたように思う。要は時宗の開祖だったか、一遍の布教活動を弟子が絵巻に仕立てたものだ。オリジナルを観るとなると、なるほどこういうものかというそれなりの感慨めいたものもないではない。

 とはいえ目下のところ、自分の興味があるのはほとんどが絵画関係なので、最後の部屋、日本近代美術の部屋ということになる。有名な岸田劉生の「麗子像」や原田直次郎の習作とかにお目にかかるとやっぱりこれはいいなということになる。