東京国立近代美術館

 今年3回目の訪問。今回は芸術専攻の子どもを連れて行ったのだが、あまり食指が動いていない様子。結局、大満足してたのは自分だけかもしれない。
 前回行ったのはちょうど一ヶ月前くらいのことだったので、展示作品はほとんど変わらない。4Fの目玉的な陳列作品も小倉遊亀の「浴女その一」「浴女その二」、原田直次郎の「騎龍観音」など。どれも好きな作品なので、何度観ていてもうっとりする。
 その他ではこれもいつものことだが、西洋絵画の名品の数々。
<ブラック「女のトルソ」>

 そしてマチス。バブリーな頃の太眉みたいだ。一見ヘタウマ調のマチスだが、そのデフォルメ感と色彩感覚はやはり他に類をみない。マチスの前にマチスなしというか、ピカソに対峙できるのはただただマチスだけなのかもしれないなどと思ってみたりもする。

 今回は前回とまったく同じ展示なので、リラックスして鑑賞できたせいか、長めのいい風景というか4Fから外の景色なんかをボーっと眺める余裕もあった。そう竹橋のこの美術館の前面は皇居なわけだと改めて思ったりもする。

 そしてそして、やはりアンリ・ルソー。この絵が日本にあるということは本当に僥倖なことだと思う。

 土曜日だというのに、この美術館はいつものごとく空いている。企画展で大混雑となる東京都美術館や新国立とこの辺が異なる。さらにこの日に限ってということでもないのだが、外国人が結構多いことに気づく。日本人との比率が半々なんではと思えるくらいだ。西洋系もいれば東洋系もいる。
 考えてみれば、我々がアメリカでニューヨーク近代美術館メトロポリタン美術館を訪れるように、外国から観光客も一日を美術館巡りに当てるという、そういうことなんだろう。美術好きな観光客は事前に日本の美術館を調べ、例えばここ近代美術館や上野の西洋美術館のコレクションが充実していることや、そこが意外と空いていて、ゆっくり絵を鑑賞でき充実した時間を過ごせるということを口コミで知っているのかもしれない。
 大宣伝により物凄い数の集客を誇る東京都美術館のバベルのブリューゲルや六本木の国立新美術館ミュシャは、イベントとしては大成功かもしれないが、あれが美術鑑賞かというと、こればっかりはクエッションみたいな部分もある。まあ自分自身にわか美術ファンだから偉そうなことは言えないのではあるけど。