国立近代美術館へ行く

 新年会というわけでもないのだが、二日続けて飲み会があった。特に前日はまず新任の職制の歓迎会があり(何が歓迎会だ)、その後でまもなく退職する嘱託社員を誘って二次会へ行ったりもしてかなりの深酒をした。
 そして今日は午後から都内で定例の会議があり夕方まで時間をとられたのだが、6時前にすべて終わったので早々に引き上げて竹橋の国立近代美術館MOMATへいく。ここは去年から行き始めたところだが、国内の近現代の画家の名画が目白押しみたいな感じで収蔵点数も多く、ゆったりとした空間で絵を鑑賞できる場所で、多分西洋美術館の次に気に入っているところだ。
 まだまだ日本絵画については知識もないので、なにかを言えるような立場ではないのだが、日本の洋画は模倣から始まり、明治、大正、昭和初期までは模倣から学習途中というような印象があり、なかなかにオリジナリティがあるとは言い難いかもしれない。とはいえ模倣を脱し、必死に独自性を、新しい表現を求めて格闘したその過程が作品の中から読み取れるような気がして、それも鑑賞の愉しみの一つとなっているのかもしれない。森鴎外が小説の中で語ったように、近代日本はずっと普請中なのかもしれない。それも継ぎ足し継ぎ足し、かつ急ピッチでの作業である。芸術もまた普請中であるという気がしてならない。
 ここはまた近現代の洋画もそこそこに収蔵している。セザンヌ、ブラック、ピカソなどなどであり、それもまた楽しみの一つとなっている。またアンリ・ルソーの有名な「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神」を収蔵しているのだが、一度も展示しているのにお目にかかっていなかったのだが、今回初めて観ることができた。圧巻である。人によってはヘタウマポスターとか、構図も ボロボロとかいろいろ突っ込みどころ満載かもしれない。しかしこれはルソーというある種天才による新しい表現なのだと思う。

 しかしこの自由の女神をよくよく見ていくとこんな感じである。

 そしてさらにアップすると、

 「どこが女神やねん、女装したおっさんやんけアンリ・ルソー」と突っ込み入れたくなる。まあ常人とは異なる審美感と表現をお持ちのルソーなのだからこれは仕方ないとは思う。
 1階の企画展示室で瑛九の企画展をやっていて、その関連でキュレーターの解説が3階の現代画の間であったのだが、これも面白かった。解説してくれたのは大谷省吾さんという日本のシュールリアリズムを研究しているMOMATの課長さんだとかで瑛九との関連で福沢一郎や古賀春江の話などが特に面白かった。絵の講義は楽しいと思うし、それこそ子どもの大学の美術史の講義とか潜り込みたいとか思ったりもした。