横須賀美術館〜「女性を描く」

横須賀美術館
前から行きたかった企画展、最終日に頑張って行ってきた。

主催者ごあいさつより
西洋の海外において、女性はふるくから最も重要なモティーフのひとつであり、また、画家の創作意欲を刺激する題材でもありました。女性の美しさ、気高さ、神秘性などをとらえた数多くの女性像は、時代や地域をL超えて、現代に生きる私たちを魅了します。
今回の展覧会で取り上げるのは、主に、19世紀後半から20世紀前半にかけて、フランスで活躍した画家たちが描いた女性像です。この時代のフランスでは、産業革命による近代化が進む中、ブルジョワ階級の着飾った女性から農村を離れ都市に出て働く女性まで、社会の様々な場面での女性が描かれるようになりました。また、印象主義や省庁主義など新しい絵画表現が20世紀前半に向けて次々に開花し、豊かに実っていく中、女性は内面的世界を掘り下げたものなど、多様に表現されていきます。

 こうしたテーマの中からフランス絵画を中心に47人の画家の約60点の作品を6つテーマに分けて展示している。そのテーマは「女性の肖像」、「画家とモデル」、「家庭の女性」、「働く女性」、「余暇(レジャー)」、「夢の女性」となっている。
 女性をテーマとするうえでは、もう一つエロティシズムという永遠のテーマがあるのだが、ポルノとの一線をどこに置くかという問題もあり、さらにいえばポルノも西洋絵画の一つの大きなテーマでもあるのだが、こればっかりはお堅い美術館で取り上げるのはなかなか難しい。そういう意味では本企画展のテーマの切り分けにヌードが抜けているのも、ある種の恣意性が働いているのだとは思う。
 最初の「女性の肖像」では企画展の多分目玉であるクールベお1点ルノワール4点などが展示されているが、アシール・ロージェやアンリ・シダネルの作品などを観ることができたのが収穫といえば収穫だった。二人とも数年前の東京都美術館での「新印象派展」で知った画家だが、淡いぼかしたような色調が美しかった。
 初めて知る画家だがアルジェリアの女流画家ヴァランティン・プラックスの絵が面白かった。
<大きな女性像>

 エコール・ド・パリ時代の画家でピカソやフジタと同時代の人なのだが、ピカソ流多面的表現の中にマチスデュフィーの色鮮やかな表現も取り入れているなどキュビスム+フォーヴみたいなところがなんとも楽しい。
 その他では「画家とモデル」において、ピエール・ボナールの絵が3点も展示されている。そこにはナビ的装飾表現から親密派に移行して、私などには印象派に回帰したような表現とも感じられる作品などもあり楽しめた。
アンドレ・ボナールの肖像>        <服を脱ぐモデル>
 

 横須賀美術館観音崎公園の中、海岸沿いに面した立地にある美術館で2007年に開館した新しい美術館である。場所的には京急観音崎ホテルと観音崎海水浴場の間くらいのところにあり、子どもの頃はよく自転車などで遊びに行った場所である。こんなところに美術館建てたんだというような感慨も出てきそうだ。
 会館して10年足らずの美術館で設計もお洒落で綺麗、流麗な雰囲気の美術館でもある。それでいて落ち着くのは、館内がなにか回廊をイメージしたような作りになっているからかもしれない。
 多分、ここもこれから何回も行くだろうなと、そんな予感もする楽しい美術館ではある。