ゴッホとゴーギャン展


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都内で会議があり割と早くに終わったので上野まで足を伸ばして東京都美術館の企画展「ゴッホゴーギャン」展を観てきた。この二人、特にゴッホは日本で人気の高い画家なので多分土日は混むだろうと思い、出来ればウィークデイと思っていたのでこれは正解だったと思う。金曜日で8時までやっているのだが、人手はまあまあ多いかなという程度で時間をかけて楽しめた。
 自分自身も10代の頃から絵といえば後期印象派ゴッホが何にもまして好きだった。情念的をキャンバスにぶつけたような原色の厚塗り。やや歪んだ構図と対象。などなど。得てしてそうした不安定な表現は不安定な若者の心性に素直にシンクロするんだろうと思う。そしてそうした絵画をよく鑑賞した頃の記憶をもとに、社会に出て絵と触れることがなくなってからも、絵といえばなんとなくゴッホが好きみたいな感覚を抱いている。まあ勝手にというか適当にゴッホ好きを分析めいていえばそんなところかなとも思ったりもする。あくまで個人の感想です。
 最近はというと、比較的マメに絵画に接するようになっているのだが、そういう自分はというとなんとなくゴッホよりもゴーギャンの方が親和的である。趣向の変化といってしまえばそのとおりだろう。後半の少し病んだ頃のゴッホの絵は鬼気迫るものがあるにはあるんだけど、なんとなくいつも同じ表現みたいな感じもしないでもない。それに対してゴーギャンはというとその妙な幻想的で平板な表現の一つ一つに創意、それもかなり理知的なものを感じる部分がある。まあそういう理屈はおいといて、なんとなく年齢のせいかなとも思ったりもする。
 今回の企画展ではゴッホにしろゴーギャンにしろ、その習作時代の絵がそれぞれ数点ずつ出展されているのだが、それが写実主義だったり、印象派そのものだったりしていてなにか微笑ましくも親しみを持って観ることができた。特にゴーギャンのそれは本当に素敵な印象派っぷりであったりもする。
 この絵はゴーギャンの「夢見る子供(習作)」。7回印象派展に出品された作品でまだ株式仲買人だったアマチュア画家時代の作品だというのだが、まさに印象派の影響下あったんだなと改めて思う。画力は凄さが素人の域をとっくに越しているとは思うけど。