ポンビドー・センター展再訪

 二次検査と通院の後、午後少し時間が余ったので上野の東京都美術館のポンピドー・センター展に行く。この展覧会は二度目になるのだが、奥の深いところがあるので出来ればもう一度観たいと思っていた。なんとなくだが東京都美術館の企画展はリピーターになることが多いような気もする。
 一年一作という展示で様々な作品が展示されている。さらに芸術家のポートレートも作品の横に掲げられており、デュフィ、ブラック、ヴラマンクといった画家がどんな人物だったかもビビットな情報として提示される。
 そうした一年一作のなかで、前回もっとも感銘的だったのは1945年。そこには作品の展示がなく、ただエディット・ピアフの「ラヴィアン・ローゼス(バラ色の人生)」が流れている。単なる思い込みに過ぎないのだが、自分には絵画や彫刻といった芸術作品は、聴覚を刺激する音楽を超えることがないのではないかと、そんなことすら考えた。そして今回もある意味、その思いを強くさせた。
 しかし、音楽を超えるものがあるか、それはあった。単純に映像、音楽、セリフという詩情、つまりは映画という二十世紀に発明された総合芸術だ。その思いを強く感じたのが、今回の企画展で1962年を飾るクリス・マルケルの短編SF映画ラ・ジュテ」だ。
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