子どもが奥歯に親知らずを左右上下に1本ずつ合計4本抱えている。近所の歯医者では処置できないものらしく、夏休みにでも大学病院に行くようにと言われたという。上の2本はまだ普通の親知らずらしいのだが、下の2本はどうやら歯茎の中にあって、切開しないと抜歯ができないものなのだとか。
このへんで大学病院というと明海大になるのだが、大学病院はかなり混むだろう。そこで昔、自分が通っていた池袋のサンシャインにある歯医者に連れていくことにした。ここは何件もの診療所を開いていて、自分は最初信濃町の診療所に行った。たぶん20代の後半の頃だ。信濃町で創価学会の本部のすぐ近くだったので、ひょっとするとこの医院自体がそっち系なのかもしれないとも思った。まあ技術がしっかりしてるので、そのへんはどうでもいい。
技術という意味ではこの医院は歯根治療やインレーとかもかなり早い段階からやっていた。還暦を過ぎてもまだそれなりに自分の歯があるのはこの医院と40代から使用しているブラウンの電動ブラシのお陰かもしれない。
この医院で自分も親知らずを抜いたことがある。やはり歯茎の奥に隠れているやつで、切開して抜いた。さらに顎の骨を少しヤスリで削りもした。最初に笑気ガスによる麻酔とかも使った。けっこうな大手術だったように思う。
その施術の後、たまたま人と会う用事があったので、医者にアルコールをとってもいいかと尋ねたら、多少ならとの答えだった。なので多少は飲んだ。すると翌日には顔の半分がえらいこと腫れた。ほとんど顔が倍になるくらいの腫れだった。腫れは2〜3日続いた。歯医者もかなり心配していた。当日少し酒を飲んだという話をしたところ、「そのせいか。いや〜、少し心配してました」と歯科助手の若い女性と二人で笑った。こっちはというと内心「お前がいいと言ったんじゃねえか」と思ったが、それは口に出さなかった。
サンシャインにある診療所には埼玉に越してきてからは2〜3年通った。妻も病気になる前はここを使うようになった。産休をとっている頃もここを利用していたので、1歳になる以前の子どもを連れて行ったこともあった。一度、家族三人でここへ来たこともあった。多分、会社を早めに抜けて合流したのかもしれない。待ち合わせてエレベーターに乗ったときに、乗り合わせたOL二人組が、妻に抱っこされた子どもを見た。と、子どもが満面に笑みを浮かべた。OLはそれを見て「ビッグ・スマイル」と言って破顔した。なんでもないことだけど、よく覚えている。
子どもそれから18年後、患者としてこの医院に行くことになった。この日はいろいろと診てもらい、次回から具体的な治療となる。
ちなみに池袋なのだが、台風も近づいていることもあり、車で行った。都内はほとんど雨もなかったのだが、帰り道はかなり凄い雨に降られた。17号から浦所道路に入り富士見のバイパスを通る頃にはほとんど道路が冠水すれすれみたいな感じにもなった。これほどの雨の中運転するのは何十年ぶりだろうと思いながらも、緊張して帰った。