東北大学で非正規教職員3200名以上に雇止め通告

東北大学で非正規教職員3200名以上に雇止め通告/無期転換妨害のため一律5年上限 : 首都圏大学非常勤講師組合・速報

2016年 05月 31日
東北大学で非正規教職員3200名以上に雇止め通告/無期転換妨害のため一律5年上限
東北大学が非正規教職員3200名以上に雇止め通告

改正労働契約法「無期転換」妨害のため「一律に5年上限」

東北大学は、3200名以上の非正規教職員に2年後以降、5年継続して勤務した非正規教職員を解雇することを通告しました。
その大半は恒常的業務に従事している職場で必要とされている人たちです。
以前は、3年上限が原則とされていましたが、実際には4年以上勤務する人が大半でした。

ところが、大学は、改正労働契約法が施行されると、このままでは非正規教職員が2年後には大量に無期契約に転換することを恐れ、2014年以降に「後出し」で就業規則を変えて、厳密な一律5年上限に労働条件を不利益に変更しました。
しかも、2013年4月1日から遡ってカウントして、以前からつとめていた非正規教職員の大半を雇い止めしようというものです。

東北大学当局は、「優秀さ」を基準にごく一部の職員を無期転換させ、残りの非正規職員は雇い止めにすると公言しています。

2016年2月16日の文書によれば、正規職員と「同等、あるいは同等以上の成果を出すと見込まれるものであること」が「無期転換候補者」の「選考の目安」としています。これは雇用の安定を目指す改正労働契約法の趣旨を全く無視した違法行為と言わざるを得ません。

これに対して、東北大学職員組合http://www.tohokudai-kumiai.org/)は「希望する人全員を無期雇用に」というポスターを作成しました。東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合は、共同で団体交渉を要求しています。

 明らかに改正労働契約法の5年ルール(無期労働契約への転換)破りといえる。
労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~
 たぶん中小零細事業主にとっては、頭の痛いルールである。これまで雇用調整の安全弁であったパート、アルバイトといった非正規雇用に対して5年を経過し、労働者が希望した場合は無期雇用に転換しなければならない。2013年4月に施行されたので、5年というと2018年4月から適用されることになる。2年後なので、そろそろ早めに動く企業も出てきているのだが、しかし3000年以上一度期にというのは、さすが独立行政法人国立大学である。仕事の仕方しらねえなとも思う。世間の耳目集めてどうするのだという意味合いも含めてだ。こういうのは人知れずこっそりやらなくてはいけないというのに。
 実際、パートという身分で10年以上も仕事をしている人を何人も知ってはいる。社員には出来ないが、仕事のことはなんでも知っている、安心して仕事をまかせておけるオバさんというイメージだ。誰でも想像がつくだろう。改正労働契約法によれば、こういう方が無期雇用を希望した場合は転換しなければならなくなる。しかし法の抜け穴はある。4年目なりに半年仕事をお休みさせればいいのだ。これをクーリングオフという。まあこれまでもパート、アルバイトを多く雇用している会社では、3年更新したら、次の更新はなしにして、1年後に応募してきたときに仕事があればまた採用するなんてことを繰り返しているところは幾らでもあるだろう。
 さらにいえば、この法律では無期雇用に転換したとしても、賃金を上げる必要はないのである。つまり無期雇用=正規社員ではなく、パートならこれまでどおり時給いくらで仕事をさせればいいのである。900円の時給のままで無期雇用ということだ。まあ無期雇用とはいっても、業績が悪くなればいろんな理由をつけて解雇するのはたぶん想像に難くない。
 とはいえ企業にとって有期雇用労働者の無期雇用転換はかなりハードルが高いだけに、法律が施行した2013年から4年目あたりであちこちで雇止め、クーリングオフが増えるだろうと予想はしていた。これへたすると社会問題になりかねないとさえ思った。労働者にとっては有期雇用から無期雇用への転換は朗報なのだが、その法律のため本来ならずっと勤められるはずの職場で3〜4年で雇止めされる可能性があるのである。かなり問題の多い改正ならぬ改悪ではないかとさえ思える。
 早速、付き合っている社労と電話で意見交換をしたのだが、社労曰く改正労働契約法は特に問題ないという。「ようは無期雇用転換を労働者に言わせないようにすればいいでしょう」って。いやいやそんな簡単ではないだろうとは思うが。
 しかし東北大、やり方が荒っぽすぎる。正直、こういうのって困るよね、と思った経営者も少なくないと思う。