ルノワール展

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 とにかく有名な傑作、代表作がこれでもかというくらいに揃っているのに感激。まずは「都会のダンス」と「田舎のダンス」が二つ並んで展示してある。
 
 考えてみれば「ブージヴァルのダンス」を含めこのダンス三部作がすべて日本国内に来ていて、それをゴールデンウィークの間に観ることできるなんて、えらく幸福なことかもしれない。この三部作についていえばモデルのヴァラドンやシャリゴとルノワールとの関係からいろいろな説があったりもする。恋の勝利者アリーヌの幸福な表情だの、二人の間で揺れ動くルノワールの気持ちが絵に表れているとか、ルノワールの気持ちが離れているのを察したヴァラドンの悲しげな表情だのなんの。
 でもそれらはなんとなくどうでもいい解釈のような気もしないでもない。ヴァラドンがアリーヌよりも洗練されているかといえばそれもまた微妙である。確かに「都会のダンス」の彼女のドレスの上品さは素晴らしい。しかしそれがヴァラドンによってより映えているかといえばどうだろう。ただし、アリーヌよりも彼女のほうがモデルとしての表情、表現には長けているのかもしれないとは思う。
 ヴァラドンの伏目がちな表情はなんとも魅力的で美しい。
 とはいえ今回オリジナルを観ることによって、「田舎のダンス」のアリーヌがちょっと見下卑た田舎の少女風であると思いがちではあったのだが、彼女もまた十分み魅力的美しかった。ルノワールはこの少女を愛し始めていたのかもしれない、それがキャンバスに表れているとひょっとしたらいえるのかもしれない。
 そしてルノワール印象派時代の傑作が今回の展覧会の目玉でもある「ムーランギャレット」だ。この絵の人だかりは半端なかった。なのであまり集中して観ることはできなかった。それでも素晴らしさはよくわかる。

 しかしルノワールの良さは肖像画や少女像、女の自画像だ。彼女たちを幸福に描くのがルノワールの個性であるようにも思ったりもする。なので一番心動かされたのは実はこの二作であるのかもしれない。