マイナンバー対応悪戦苦闘

 久々、多分1年半ぶりくらいになるのか、労基署に行ってくる。総務部長ではなく自らである。なぜかといえば総務担当は年末調整の諸々で忙しそうだったので自分で行くことにした訳。もともと今回の諸規定の制定だの、改定だのはほとんど自分一人でまとめたものなのでまあその流れでみたいなこともある。
 今回はなにかというと、そうずばりマイナンバーである。誰だよこんな七面倒くさいものを作った奴と思う部分が大なのだが、まあその手の繰言は別の機会で。とりあえず企業はマイナンバーに対応するためにはいくつか約束事を決める必要があるのだ。というのは、企業は大小に関わらず、社員の健康保険、厚生年金、労働保険等のいわゆる社会保険関係と市民税や年末調整等の所得税に関わる事務にマイナンバーを使用することになる。逆に言えばそれ以外に社員のマイナンバーを使ってはいけないのである。そういう約束ごとを社員にも社会にもある種宣伝する必要があるのである、と。
 そのためにはまず諸規定の整備が必要となる。マイナンバーに限っていえば、社会保険や給与計算、税務にしか使いませんよ、しかも使う人間は限定します、マイナンバーを扱う場所、PC等も限定しますということを条文化しなくてはいけない。これがまず特定個人情報取扱規定。マイナンバーとは特定個人情報ということになっているようですね。これを社労にいわれて作ることになったときに、自力でやれば金が浮くと思い首つっこんだのが失敗だったかな。
 特定個人情報取扱規定を作るためにはまずその土台となる個人情報保護規定が必要になる。たいていの企業は2006年に個人情報保護法が施行されたときに併せて作っているはずだったのだが、うちはやってなかったのね。まあ従業員の少ない零細企業だからそれはそれで許されるのだけど、仮にも出版社の顧客データとかを扱っている会社でもあるので相手との手前そういうものをきちんと整備する必要はあった訳だ。なのに前任の代表取締役と当時の総務担当者が見事にサボりましてですね、多分ネットか社労からもらった資料をそのままの個人情報保護の手引きとかいう10数ページの文書だけでお茶濁していた。なのでまずここから始める必要がでてきた。
 それでまず個人情報保護規定の雛形みたいなものをネットで幾つか落として比較検討しながら、条文作っていった。それが大体出来てから初めて特定個人情報取扱規定に向かった。こっちは一応社労が雛形を持ってきていたので(多分、これもどっかで落としたものだと思う)、これを参考に条文整理して、会社の現状に即して条文書き換えたりもした。
 それぞれの規定が出来てからは次に就業規則の改定。これはたいしたことではなく、小変更なんだが、まず採用時にマイナンバーの提出を求める旨の規定をいれる(もちろん拒否もできる)。次に懲罰に個人情報保護規定、特定個人情報取扱規定を遵守する旨の条文を入れると。うちの場合は正社員、嘱託、パートタイマーと三種の就業規則があるので、それぞれに追加変更を行う。
 さらに当然のことなのだが就業規則の改定及び諸規定の制定なので正社員、嘱託、パートタイマーそれぞれ全員集めて趣旨の説明したうえで、それぞれの代表者から意見書もとらなくてはならない。まあうちは組合ないから、楽といえば楽だけど、それぞれ別にやるのでけっこう煩雑というか面倒だったりする。
 それらの諸々を11月後半からずっと続けてきて、12月の役員会で承認取り付けてから一気に進めてきたわけ。それで本日、個人情報保護規定、特定個人情報取扱規定、就業規則(正社員、嘱託、パート)それぞれ2通、合計10通もって労基署出向いて1通ずつを提出し、1通に判子押してもらって帰ってきた。
 これで来年1月には社員に対していよいよ初めてマイナンバーの提供を求める書面を渡して収集することになる(カミさん扶養に入っている場合はカミさんの分も)。もちろん拒否の場合は、その旨の文書も添付するので提出してもらう。まだまだ面倒くさいことが続くがとりあえずお上が決めたことには誠実に対応しなくてはいけないわけで、これもまた仕事なのである。