The Barberettes (バーバレッツ)追補

その後もバーバレッツにハマリまくっているのだが、幾つか仕入れた知識やらなんやらを記録しておく。とはいえ如何せんこのグループに関しては、情報量が少なく日本語サイトが得るものがほとんどない。こんなことならハングルの勉強とか少しはしておくべきだったかなとも思う。まあ隣国なんだしね。
まずこのグループのアルバムなんだが全体を通してカントリー・ミュージックやフォーク・ソングっぽい曲調のものが多い。

THE BARBERETTES

THE BARBERETTES

  • アーティスト:Barberettes
  • 発売日: 2014/06/03
  • メディア: CD
この曲なんかもまさしくそんな感じ。

これは40年代から50年代にかけて活躍したアメリカのコラース・グループ、ザ・コーデッツのカバー。このへんに影響を受けてきたということなんだな。といっても私自身はザ・コーデッツってほとんど知らない。かろうじて「ロリ・ポップ」歌った人くらいの知識だ。ウィキペディアによるともともとフォークソングを歌っていたがバーバーショップ・スタイルに転じたとある。さらにバーバーショップ・スタイルのコーラスからロックン・ロールへの橋渡しの役割を果たしたという。
ザ・コーデッツ - Wikipedia
ロックンロールへの橋渡しか。感覚的には「ミスター・サンドマン」から「ロリ・ポップ」への流れはそんな感じもあるな。そして「ロリポップ」を経由して「ビーマイベイビー」へと続いていくということだ。
それではザ・コーデッツの歌はどんな感じだったか。Youtubeには貴重な動画がアーカイブされているから嬉しくなる。

さらにこのバーバーショップ・スタイルについてはこのサイトがわかりやすい。
http://lockers.gonna.jp/aboutbbs.html
なるほどね、禁酒法の時代はみんな床屋で歌っていたのか、素面で。カルテットの構成とかもわかりやすく解説してある。これをザ・コーデッツの曲で表わすとこんな感じなるのだとか。奇特な方の力作動画だと思うよこれはこれで。

このカルテットのコーラスをトリオでやっているのがザ・バーバレッツということになるわけだ。なので冒頭のバーバレッツの「ミスター・サンドマン」でストリング・ベースにスポット当てているのはベースパートという意味合いもあるのだろうね。
さらにいえばザ・バーバレッツというグループ名もバーバーショップ・スタイルとコーデッツを掛け合わせているということだ。オールディーズ以前のコーラススタイルへの一種のオマージュだ。若いバーバレッツのメンバーが(といっても年齢知らないけど)、どのようにして50年代のこの手の音楽n行き着いたのか、そのへんのことも知りたいとは思う。
さらにザ・バーバレッツのもう一つのルーツはというと、おそらくアンドリュー・シスターズなんだと思う。こっちは真正トリオなわけだし。
アンドリューズ・シスターズ - Wikipedia
アンドリュー・シスターズのほうがコーデッツよりも幾分馴染みがある。特に第二次大戦中に慰問で回ったということだが、その軍服にタイトスカートという衣装はこのグループのトレードマークみたいだな。50年代半ばに生まれた自分がこのへんをなんとなく覚えているのは、たぶん小さい頃にテレビでペリー・コモやアンディ・ウィリアムスのショーとかを親が見ていたせいもあるのではと思う。たぶん、たぶんだがペリー・コモとかに彼女たちも出ていたんじゃないかと、そんな気がする。
アンドリュー・シスターズといえばなんとなくブギというイメージである。まあこのへんが代表曲になるのだろう。

で、この曲をちょっと現代風に、少しマンハッタン・トランスファー風味でアレンジするとバーバレッツが出来上がりということになる。

そういう意味では単なるオールディーズのコーラス・グループではなくオールディーズ以前のアメリカのコーラス、しかもドゥーバップやモータウン系の黒っぽいそれではなく、あくまで白人系のコーラス・ミュージックの踏襲している。バーバレッツはけっこうコアな部分をベースにした音楽やっているという気もする。しかもそれをきちんと自分たちのものにするだけのコーラスの技術、美しい歌声をもっている。相当のタレント性だと思う。
こういう音楽がなぜに韓国のポップ・シーンから出てくるのかなと思ったのだが、考えてみれば韓国は朝鮮戦争以後、在韓米軍が常に常駐している。そこからアメリカン・ミュージックの影響が諸々でてもおかしくない。日本が占領下、アメリカン・ニュージックの洗礼を受け、それをコピーして基地回りをする歌手、ジャズ奏者たちがいて、その中から和風ポップスや邦楽ジャズが生まれた。昭和の時代、30年代から40年代に活躍したミュージシャンの少なからずがベース回りの経験があるはずだ。
そういう日本的なポップスやジャズ、ロックの流れとたぶん同様のことが韓国のミュージック・シーンにもあっただろうと想像する。そのアメリカン・ミュージックの洗礼を受けた世代の子どもあるいは孫にあたる世代になるのか、そのへんにおそらくザ・バーバレッツもいるのだろうと思う。彼女たちの歌う懐かしきアメリカン・ポップスはたぶん彼女たちの上の世代が聴いていた曲なのかもしれないとも。
まあなんにせよザ・バーバレッツのコーラス、センス、歌はまごうことなき才能だと思う。彼女たちに良いプロデューサーがつけば、もっとジャズテイストの濃い曲やそれこそ60年代以降のポップスとかも幾らでも企画できるだろう。そういう意味じゃ市場規模は日本のほうが大きいということもある。日本のレコード会社、特にジャズレーベルもっているとこ、彼女達に注目してくれないかな。
さらにいえばだが、山下達郎とかが興味を持って注目してくれるのもいいかなとも思う。コーラス好きの彼ならきっとザ・バーバレッツが好きになると思うのだが。最も彼の好きななコーラスはもう少し黒いほうかなとも思うけど。
単なる韓流アイドルの一ジャンルとかじゃなくて彼女たちに注目が集まり、そういう流れで日本に来てくれることを激しく希望するのだが。さらにいえば彼女たちの50〜60年代の音楽への志向性はそれとして、新しいジャンルの曲も聴きたいと思う。実際、最近の歌とかもうまいこと歌ってくれている。確かマルーン5アダム・レヴィーンが映画で歌った曲だったと思うが。