ミレー展

旅行の帰り終着が東京駅だったので、皆と別れてから三菱一号館美術館ボストン美術館ミレー展を観る。ミレーとバルビゾン派写実主義画家たちの絵画中心で、8月に山梨県立美術館で観たものとほぼ同じ趣旨。初期の自画像等は山梨のほうが充実していた印象もある。
ミレーと同時期にバルビゾン村に住んだディアズ・ド・ラ・ペーニャやテオドール・ルソー等とはほとんど隣近所のような場所で生活をしていたようで、共に画作に励んだのだろう。同じような精密な写実的風景画が多数描かれている。
山梨のカタログからの引用だが当時のバルビゾン村の略図でもどのくらい近しい距離で暮らしていたかがわかる。

個人的印象だがみなコローの影響で写実的風景画に取組み、ディアズ、ジャック、ルソーたちはより精密な、今で言えば写真的な写実性を深めていった。それに対してルソーはじょじょに象徴性を込めて農民達の労働する姿を描くようになると、まあこのへんは個人的なかってな見立てである。
ミレーの絵はやはり同時代の写実派を圧倒するものがある。言葉悪くいえばルソーやディアズが絵葉書や写真だとすれば、ミレーはまさしく絵画みたいな感じか。
「羊飼いの娘」

「洗濯女」

その他で印象に残ったのは動物画で人気を博したというトロワイヨン。動物の毛並みの質感さえもが見事に描かれている。たぶん当時この手の絵はおそろしく人気があっただろうと想像してしまう。
「身構える猟犬」

そして実はこの展覧会で一番印象深いのは、ミレーの絵に影響を受けたオランダ、ハーグ派の画家ヨーゼフ・イスラエル
「別離の前日」