南淡路〜徳島大塚国際美術館

5月3日、4日と恒例の淡路島、徳島への小旅行に行ってきた。もうここへは何度行っているかわからないくらいだ。だいたいにおいて年に2回、GWと正月に行っている計算である。最初に行ったのは、妻が病気になった翌々年、たぶん2007年だったか。なぜこんな遠くへといわれれば、これも何度も書いているが、南淡路のホテルが健保の契約施設になっていて安価で泊まることができるから、もうそれにつきる。
出版建保の施設はすべて抽選で、正月や夏休みに当たる可能性はほとんどない。なのにここだけはやはり遠いせいだろう、ほとんど無抽選でとれる。ひょっとしたら出版建保の加入者でここを利用しているのは、うちだけなんではないかと思うこともある。
片道ほぼ車乗りっぱなしで10〜12時間かかる。逝くだけで1日が終了する。そういうところだが、食事は美味いし、それだけでも行く価値はあると思っている。そしてここに来たときには翌日には必ず、鳴門海峡を渡り大塚国際美術館へ行く。これも何度も書いているが西洋絵画の陶板複製画による美術館である。ここで1日のんびりと絵を見て過ごす。たぶん私にとっては唯一の贅沢な時間かもしれない。これだけのために往復1500キロの距離を一人で運転してくるといっても過言じゃないかもしれない。
さすがに子どもは少しマンネリ気味で去年くらいからは、お気に入りのスクロヴェーニ礼拝堂とかを観ると後は休憩用の机椅子に占領して宿題をずっとやっている。
ここのところは妻も車椅子で一人で回らせて、私も好きなジャンルをその都度少しずつ変えてゆっくり回るようにしている。この各人各様も気に入っているところだ。そうやって放置してもそれぞれが自分のお気に入りを巡ることができる。広大なスペースと膨大な展示品があればこそだと思う。
今回のお気に入りはというと、ツィートもしたのでそのまま引用すると。

今回の大塚国際美術館で一番残った絵はこれ。もともと好きな絵なんだが。
ジョン・シンガー・サージェント『カーネーション、リリー、ローズ』。エンヤのミュージック・クリップでも使われてる。

Enya - On My Way Home (video)

カーネーション、リリー、リリー、ローズ』

なんともノスタルジックな雰囲気、そしてジャポンニズムか。ジョン・シンガー・サージェントは19世紀後半から20世紀初頭にかけてロンドン、パリで活躍したアメリカ人の画家。ウィキペディアの記述によれば上流社会の肖像画を得意としたということで、まあどちらかといえば通俗画家みたいな感じもしないでもない。作風的には写実性とやや印象派の影響化にあるということろか。『マダムX』なる肖像画が官能的過ぎるとしてスキャンダルになったというが、私などからすればラファエル前派のロセッティやハントのほうがよっぽど肉感的な感じがする。
この『カーネーション、リリー、ローズ』は大塚国際美術館のなかでは印象派後期印象派の中間におかれている。モネとドガの間あたりだったか、その後にセザンヌゴーギャンと続いている。イメージとしてはモネ以降のジャポニズムの影響を感じさせる画家の作品群という位置づけだろうか。サージェントの次にベルト・モリゾ、カサット、そしてドガと続いていただろうか。
それにしてもこの絵の淡い色づかい、少女たちの無垢なイメージ。なんとも言い知れぬ美しさだ。