『物語岩波書店百年史』

トムジィ on Twitter: "『物語 岩波書店百年史 2 「教育」の時代 』を読んでる。日本資本主義発達史講座の1回の初刷が12000部とある。自由な現代でこの企画、せいぜい1500部じゃないかな。
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『物語 岩波書店百年史 2 「教育」の時代 』を読んでる。日本資本主義発達史講座の1回の初刷が12000部とある。自由な現代でこの企画、せいぜい1500部じゃないかな。
http://www.amazon.co.jp/dp/4000253http://www.amazon.co.jp/gp/aw/social/swf/4000253158/o=ShareProduct/ref=tsm_1_aw_swf_d_sp158/ref=cm_sw_r_tw_awd_S4kdtb0R15ZAM … @amazonさんから

ここのところ間をおきながらずっと読んでいるのだが、これが滅法面白い。まあこの内容を面白いと感じるかどうかは人それぞれなのだが、ある種の人たち、少なくとも本の仕事をしている人、書店とか取次とか、もちろん出版社に勤務している人はとりあえず読むことを薦めたくなる。なぜかといえば、自分たちの今やっている仕事の地平みたいなものがどのようにして切り拓かれてきたかをたどることができるからである。一出版社の歴史がそのまま日本の出版業の歴史と重なるというのは、この老舗出版社の価値とかそいうものにも繋がるのだろう。ただしその歴史にどっぷりつかり過ぎて、ややもすれば時代から置き去りにされそうな、そんな部分も昨今はありそうだし。過去、現在、未来みたいな見方からすると、ややもすれば微妙な感想もでてきそうだ。
それにしてもその歴史は面白い。創業者の岩波茂雄が1高の劣等性だったとか、そもそも彼の創った出版社は1高、東大の友人、知人のネットワークに寄り添うことで成立していた。それもその友人たちはみな秀才たちであり、おそらく彼らの新しい知見のフォロワーとして出版業を成立させていったこと。たぶんに茂雄さんは数多の秀才である友人たち、安部能成、阿部次郎、倉田百三和辻哲郎らに導かれていったのだろう。
また夏目漱石の全集を出すことによって、その編集作業を通じて編集技術、編纂という業務がじょじょに成立していったこと、そこに漱石門下の秀才たちが集い、切磋琢磨していった様子なども面白かったし、それ以前に岩波書店が実は1高、東大の早世した同窓生の遺稿集から出版業に乗り出したということなども今では想像もつかないことばかりでもある。そう、。漱石の『こころ』や『漱石全集』だけじゃなかったんだよと。
まあこのへんは1巻のほうからの感想だが、2巻もまた面白い。実際ツィートしたとおりで『日本資本主義発達史講座』が万を刷るという時代が、日本に存在していたことが凄い。その時代、日本は社会主義思想が主流だったのか、いやいやそんなことはない。前年の1931年には満州事変も勃発している。社会主義共産主義にとってはとっくに冬の時代がきていた。その時代にあって所謂講座派の原典ともいうべき講座書籍が1巻15000部を刷りはけてしまうのである。戦前は我々が思っているほど暗黒時代ではなかったのではないかとそんな気もしないではない。
このシリーズは全3巻であり、まだまだ読了するのに時間はかかるだろう。その都度、感想を述べていきたいと思う。