ポーラ美術館

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土日久々箱根に行ってきた。例によって健保の保養所に泊まる。今回も妻と二人。子ども部活があるとかで、初めて一人でお留守番。なんか普通に過ごしておれたみたい。これも成長ということだね。
今回の箱根はこれだけみたいな感じで土曜日にポーラ美術館へ行く。特別企画展として国立西洋美術館との共同企画で13日から始まった「モネ、風景をみる眼−19世紀フランス風景画の革新」が見たくて。
ポーラ美術館は印象派絵画のコレクションとしては国内有数の量、質を誇っている。そこに国立西洋美術館のコレクションが加わるのである。しかも今回は風景画にスポットをあてている。なのでルノワールドガはほとんど皆無。ルノワールは彼らしからぬ風景画が1点展示されていた。
展示作品を含め幾つか断片的な感想をのべる。
モネについては元々大好きな画家である。改めて彼の年表を見てみると1840年生まれで没年1926年、86歳で大往生というたいへん長命な御仁だった。視力低下で製作が困難になったのが82歳だというのだから80歳くらいまでは現役で製作に励んでいたということになる。物凄いバイタリティだと思う。こんなに長命でしかも晩年まで現役バリバリだった画家というと思い浮かぶのはピカソ(91歳没)、葛飾北斎(88歳没)くらいだろうか。
今回、彼の作品を見て行くと個人的には30代から40代にかけての作品が気に入った。構図がしっかりしていて、風景がまだしっかりと具象化されているような感じ作品群。晩年の睡蓮のような風景と光が渾然一体化するようなややもすれば抽象性さえ感じられるものとは一線を画しているような感じだ。
最晩年には視力の低下により製作を断念ということだが、モネの絵画には彼の視力が密接に連関しているのかなと思えないでもない。「睡蓮」しかり、霧のロンドンを描いた連作や「ルーアン大聖堂」などのぼんやりとした表現は実は視力の低下により鮮明に対象をとらえることが難しくなっていたせいではないかと、まあ勝手なことを適当に考えてみた。老眼その他により眼鏡が手放せなくなり、度が進んでいるせいか眼鏡をしていても周囲の鮮明さが失われつつある毎日を送る自分にとっては、なんとなくそんなことを思いつきたくもなるのだ。
モネ以外ではここ数年お気に入りのカミーユピサロの幾つかの作品に触れることができて幸福でもあった。この人もモネほどではないが長命で、印象派の精神的支柱のような存在だった。さらにいえば長老的存在でありながら、新しい技法も積極的に取り入れていて、点描画も何枚も残している。
ある意味ピサロの後押しがあってこそ点描派ともいうべきスーラ、シニャックエドモン・クロス等は新印象派は日の目をみたのかもしれない。まあそのくらい影響力のある人だったようだ。
 そしてポーラ美術館に来る愉しみの一つがこの絵への再会である。

「グランカンの干潮」、本当にいい絵だと思う。スーラは寡作で生涯の作品もせいぜい50枚程度だと聞いている。そのなかで彼の代表作の1枚が国内にあるというのも嬉しいことだと思う。そしてこの絵を見るたびに大作「グランド・ジャット島の日曜日の午後」をいつか見たいものだとも思う。シカゴは遠いな〜。