東京国際ブックフェア

今年で4年連続通っている。いちおう業界の端っこの方に生息している人間の一人として新しい情報に触れねばとの思いからなのだが。でも、正直そろそろいいかなという思いもしている。なぜか、なんとも変わり映えしないようにも思えるし、さらにいえばなんとなく展示している出版社の顔ぶれもマンネリというか。
ここ数年、展示スペースで頑張っているのはミネルヴァ書房創元社、河出書房など。まあ元気のある出版社だ。大手はというと講談社小学館集英社、角川とここまではいいのだが、その後がまったくない。文春も新潮も出展なし。今年は筑摩も見当たらない。また取次を通さないで書店シェアを伸ばしていた元気のある出版社ディスカバー21も今年は単独での出展はなし(あとで調べると児童書だけを共同ブースにて出品とか)。
その他でもここは出していてもいいだろうというところがない。例えば、う〜ん、幻冬舎、学研、ダイヤモンド、東経、徳間、ソフトバンク、オーム、NHK、日経、中公、中経、早川、有斐閣などなど。出展出版社がなんとなく人文系の専門書版元に偏っていることを思うともう少しバラエティ溢れるものがあってもと思ったりもする。さらにいえば日本が世界に誇るとかなんとかいわれている例のクール・ジャパンのことでいえば、もっとコミック系の展示もあってもよかろうにとも。
もちろん出展料が半端なく高いだけにあそこで本を売ってもたぶん割りも合わないとか、宣伝効果も薄いとか、単なる出版社のブランドイメージ維持のための宣伝扱いでしかないとか、まあ様々な理由もあるにはあるのだろう。でも少なくとも国内最大のブックフェアなのである。もう少し業界あげてという雰囲気があってもよかろう。あまり版権ビジネス等は盛り上がっていないのだろうが、海外のエージェントからすると日本を代表する出版社はへたすると幸福の科学みたいなことになってしまう。
ついでにいえば、同じ宗教ネタ的にいえば幸福の科学本願寺出版部の出展のことを思うと聖教新聞社はなにをしているのかと思わないわけでもない。SGIとかいってるんだったら、なんかあっても良かろうに、どうにも内向きなのだろうかね。
まあそのての余談はさておきであるのだが、知り合いの出版社から聞いたのだが、スペース広げたらまんま売上に反映したという話もあった。ふだん書店店頭ではなかなか手にとることができないというのが理由の一つなんだろうが、なんでも想定以上だったともいう。まああれだけのスペースにいちおう本好きな御仁が集まってくるのである。これもふだんあまりない本の割引販売もされているのだ。それはそこそこ売れるだろうとは思ったりもする。
そういうことを考えるともっと展示ブース広げて拡販したいと思いたいのだが、いかんせんあの展示料の高さではということになる。いっそのことただ場所貸し方式じゃなく、安い展示料でテラ銭とるとか考えたらどうかとも勝手な思いつきである。まあいいかこれは。
電子出版系のことでは特に書くべきような印象は残っていない。しいていえば大日本印刷楽天が国際ブックフェアに出展していたのに対して凸版は国際電子出版EXPOに出展していた。より出版系で商売しようとする前者に対して後者は技術面に力を入れるのかななどと勝手に想像。凸版が参考出展していた3Dプリンターによる実作展示は、なにかのフィギアらしいのだが、意外とチャチイという印象をもった。
そして電子出版に関しては去年と同じで混沌、低迷といったところか。昨年末にキンドルも発売され、形のうえでは日本の電子本市場もプラットフォームが出揃った。そういう意味では真の元年はまさしく今年のはずだったのにである。結局リーダーが出揃ってもコンテンツが十分でないとということなのかもしれないが。
楽天は昨年に続き大きな出展ブースでKoboを宣伝している。見た目、操作面など性能的にはたぶんキンドルと大差はないのだろうとは思う。問題は使い勝手と電子書籍購入の利便性に尽きる。これまでの経験上でいえば、ソニーリーダーズはお話にならないくらい、ストアの使い勝手が悪い、検索しづらい。また購入後の処理も今一つである。それに対してキンドルはとりあえず購入面に関しては本当に簡単。問題はKoboキンドルにどれだけストアの使い勝手を近づけることができるかだろうとは思う。
まあ後は楽天の数うちあたる方式でとにかく日本の電子書籍はこれ的にどれだけバラまけるかみたいなことになっていくのかもしれない。こういうことをやって取りあえず既成事実を作り上げる。それも一つの手立てかもしれない。
楽天株式会社:  香川県「まんのう町立図書館」、電子ブックリーダー「kobo Touch」を100台導入 | ニュース