「ストロベリーナイト インビジブルレイン」を観る


映画 ストロベリーナイト 非公式ファンサイト
2週続きで劇場に行く。こういうのは久々のこと。前週の「レ・ミゼラブル」はどちらかといえば私の趣味。今回は確実に妻の好みにつきあうといったところか。とにかくドラマもほぼ毎回かかさず観ていたからね。でも、このドラマはふだんあまりテレビを観ない私もけっこう観たほうかもしれない。ここ数年、確実に消極的ではあるけど竹内結子のファン化しつつあるし、このテレビは刑事モノの群像劇としても出色の出来だとは思っている。
さてと作品のほうはというと、とにかく竹内結子がかっこいい、美しい、それにつきる映画なのではないかと思う。2時間ちょっとの上映でもほとんどダレることなく一気に観ることができた。そういう意味じゃミステリーものとしてはなかなかよかったんではないかとも思う。
ほとんどすべてのシーンで雨が降っているという設定もけっこう面白い。この雨がある種心象風景の描写と重なっているようで、文字通り「見えない雨=インビジンルレイン」ということなんだろう。
「見えない」=「インビジブル」という詞はきわめて比喩的な意味合いで使われる表現なんだろうなとなんとなく思ったりもする。昔読んだカルヴィーノの「見えない都市」の英訳はたぶん『Invisible Cities』だったんだろうかなどと、まあどうでもいいことを思い出したりして。
テレビドラマのシリーズは、竹内結子扮する姫川玲子を中心にその周囲の刑事達との群像劇みたいな形で展開されていて、その刑事達一人一人にそこそこに個性があり、それがこのドラマのある種の醍醐味なのだが。今回の映画ではその群像劇の部分が徹底的に捨象され、ほぼ全編姫川玲子の個人捜査中心に展開されていく。そういう意味じゃ竹内結子メインの竹内結子による竹内結子のための映画みたい感じもする。ファンとしてはたぶんそれだけで十分というところもないではないけど。
映画の出来自体についていえば、けっこうツッコミいれたくもなったりもする。ほぼ全編雨の中で外回りするのである。たぶん半端なく濡れる、靴とかもビショビショだろう。「あんなヒールの靴で大丈夫か、足ムレムレじゃあねえの姫川」みたいなしょうもないツッコミが一つ。さらにいえば、何日も安い吊るしの背広で雨の中駆けずり回るの刑事さんたちである。もう背広もシャツもヨレヨレだろうし、デカ部屋は濡れた化繊の饐えた匂いがきっと充満しているんだろうななどという、まあどうでもいいリアリズム的ツッコミ。でもいいか、あれは心象風景の雨であって、降っているけど可視化されないものだから、などなど。
さらに一つ、いくら企業舎弟風装っているとはいえ、捜査案件の広域暴力団の幹部の面くらい、頭に入っていてもいいんじゃないかとも。少なくとも警視庁捜査一課の警部補で、一斑を指揮する敏腕刑事なんだからと。まあいいか、竹内結子がキレイなんだから。