メトロポリタン美術館展

朝から給与ソフトの講習会で都内に出る。年末調整のための儀式みたいなものか。去年も出ているので、口の悪いやつに言わせると、また出るのということになる。でも気にしない。それどころか大いに居直って「去年のことなど、なにも覚えちゃいないぜ」と嘯く。実際、なんも覚えていない。
講習に出て講師の説明にあわせてソフト操作して、やれ控除だの保険料だのを入力し始めると、次第に「あっ、俺、これやってるわ」とか「これ去年入力したな」みたいに微妙に記憶も蘇っては来る。そして同じ疑問を抱き、同じ質問をしたりなどなど。
質問の一つが、年末調整の処理は基本的に12月の給与、賞与の処理がすべて終了してから終わるのだが、給与計算前に各人の控除額やら保険料とかを入力してもいいかということ。去年はなんもわからなかったのだが、それでもこれだけは質問した。そして事前入力はOKであるという回答もらったうえで、講習の翌日入力したはずだった。なのにまた同じことを質問している。
約2時間半の講習を終了してどうにか去年やったことを思い出した。とはいえソフトも仕様を微妙に変えているし、保険料も新契約、旧契約とに分かれ、さらに介護保険とかも細分された。講習を受ける必要性もそれなりにはあったとは思う。まあ来年は誰か他の者に行かそうとは絶対に思ってはいるが。
講習終了後、近くの牛丼屋で5分で昼食喰って、さあすぐに会社に戻ろうかとは思わない。このへんが不良オヤジである。昼休みくらいの時間をどっかで暇つぶそうと思い、そういえば何駅か先の上野でメトロポリタンやっていたな、あんまり時間もないけど確か12月いっぱいくらいまでしかやっていなかったはずだしと思い足を運んでみることにした。本当にしょうもないな。でも、普通社員が例えば午前中都内に検診とかででたりすれば、たいてい午後休みとって会社には戻らない。午前中都内でようすませて午後会社来るなんていうのはあんまりいないと、少し内省的自己弁護してみたりもする。
メトロポリタン美術館展はこんな感じで東京都美術館でやってます。
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ニューヨーク、メトロポリタン・ミュージアムのコレクションを「自然」を切り口として7つのテーマで年代順に展示するというもの。古代の調度品、アクセラリー、イコンから近代の印象派絵画まで133点を展示している。7つのテーマはこんな風になっている。

第1章 理想化された自然
第2章 自然のなかの人々
第3章 動物たち
第4章 草花と庭
第5章 カメラが捕らえた自然
第6章 大地と空
第7章 水の世界

中に入ってみてこれは昼休みにさらっと見るようなものではないなと少し後悔したけど、なかなか都内に出てくることもできないので、バックウォルドの「6分間ルーブル」に倣ってさらっと、本当にさらっと鑑賞することにする。
そしてアート・バックウォルドが死んだ - トムジィの日常雑記
メトロポリタンは一度だけだけど本場ニューヨークのそれに行ったことがある。新婚旅行の中でのことだが、日程的にきつくて半日しか時間がとらなくてずいぶんと残念な思いをした。ここは丸々二日くらいかけてもいいくらいの圧倒的な広さ、展示作品なんだよな。ここに半日しか時間がとれなくなったのは、前日だったか前々日にアメリカ自然史博物館のほうに一日かけちゃったから。ナイト・ミュージアムの舞台になったところで、ここもたいへん愉しいところだったが、私個人的には圧倒的にメットだったんだけどね。妻が博物館のほうが妙に気に入ってしまって、せかしてもなかなか動かなかったんよ。
本場のメットでもいろいろ感動的だったけど、やっぱり個人的にはポロックの「秋のリズム」にご対面できたこと。あれは圧倒的だったよ。
そんでもって東京都美術館のほうはというと、古代工芸品や調度品はほとんどスルーしてひたすら著名な絵画、ゴーギャンとかゴッホとかを中心にみたいな俗っぽい鑑賞に終始した。まあいたしかたないか。そんな中でなんとなく気になったのが一つはカナレット。
この人は18世紀イタリアの景観画家といわれている。遠近法を駆使して写真のような精密な絵画を量産した人である。17世紀、18世紀のこの手の写実画家をふだん個人的には絵葉書屋さんと呼んでいるんだが、300年も前にこんな精密な絵画を作り上げたことにはなんとも敬服みたいな感じである。
カナレットはほとんどの絵画をカメラ・オブスクラを使って描いたともいわれている。カメラの原型のような装置で、確かこれをフェルメール主人公にした映画『真珠の耳飾りの少女』の中で見た記憶があるな。
カメラ・オブスクラ - Wikipedia
カナレット作:「ヴェネツィア サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂

その他ではアンリ=エドモン・クロスの「海辺の松の木」。見事な点描画だなと思ったのだが、この人シニャック、スーラに次ぐ点描派の代表的な画家さんなんだとか。特に夭折したスーラの後にある意味点描画のスターになった人らしい。
アンリ=エドモン・クロッス-主要作品の解説と画像・壁紙-

でも結局のところは一番気に入ったのはこれでした。ふだんルノワールの描く婦人像とかは、みょうに生々しくてあまり好みではないのだけど、この絵の後姿のそれはえらく美しい。なんかモネっぽいよね。そしてなんていうか完璧な構図みたいな感じに個人的に、本当に個人的な感想ではあるが、そんな気がします。
ルノワール作:「浜辺の人物」

ほんとうに短い滞在だったけど、久々幸福な時間を過ごせたような気がします。老後はさあ上野近辺に住めたりしたらいいな〜と思う。たぶん夢の夢なんだろうけど。まあ来世への希望ということで。