「ヒューゴの不思議な発明」

最近観た映画の中から幾つか。

ヒューゴの不思議な発明 [DVD]

ヒューゴの不思議な発明 [DVD]

  • 発売日: 2012/08/24
  • メディア: DVD
あまり期待してはいなかったのだが面白かった。スコセッシなのでハズレはないだろうとは思ってはいたけど、前作の「シャッター・アイランド」やや興ざめだったから。
映画は1930年代パリを舞台にした擬古典的なSF仕立てみたいな印象。スコセッシらしいミステリアスな部分もある。カメラワークはCGを駆使しており、ワンショットで細部にまで入り込んだりと手が込んでいるのだが、いかにも技術ですみたいなところがスコセッシの職人気質と妙に乖離しているような気もしてならない。
この映画はアカデミー賞5部門を受賞、スコセッシの最高傑作の呼び声も高く、とにかく批評家筋からの評価も高い。その割りにはアメリカでの興収は良くないという。なんとなくそれが分かるような気がしないでもない。
映画には狂言回しというか、重要な役回りとして映画草創期、世界初の職業映画監督とまで言われたジョルジュ・メリエスが登場する。さらに彼の作品や映画製作が映像として語られる。このへんに映画好きはたぶん大いに反応しちゃうのだろう。しかもメリエスを演じたベン・キングズレーがメリエス本人によく似ていたりもする。そしてメリエスの代表作「月世界旅行」の製作過程を再現してみせたりもする。まあシネマニアというか映画好きのスノビズム的琴線に触れるのでしょう。
私もメリエスは若いときに読んだ幾つかの映画史だの映画理論だのといった書物で知っていた。だからそれなりに反応もする。もちろん「月世界旅行」のことも知っている。メリエスがマジシャンやら劇場興行主だったこともなんとなく記憶にはある。ようは原初、映画は完全に見世物として成立していたということなんだろうし、その中で技術や時代的な制約の中でメリエスは創造力豊かに面白いしかけを様々工夫してくれたということなんだろう。
そういう意味じゃメリエス登場させたことがこの映画のある種の成功ともいえる。しかし残念ながらこれは映画的スノビズムの世界のマニアックな興味だから、当然大衆性がない。この映画が興行的に残念だったのもいたしかたないかとも思う。
先月ブルーレイ&HDDレコーダーなるものを購入したので、今回初めてブルーレイでも観た。「でも」というのは、ブルーレイの前にDVDでも観ているから。DVDとブルーレイの違い、まあ綺麗なんだろうが、実はあまりよくわからない。安い32型TVで観ている限りではさほど違いはないようにも思えたりもする。