装具をつくるには

妻の装具がだいぶくたびれてきている。3本のベルトで足を固定するようになっているのだが、そのベルトが擦り切れ、止め具の部分もゆるゆるになってきている。入院リハビリ中に作ったものと退院してすぐに作ったものの2本を使っているのだが、いずれも5年以上経過している代物だ。そうか、あれからすでにそういう年月が経過しているということか。
妻が倒れたのはいつだったか振り返ると、すでにあれから7年の月日が経とうとしている。そのことをどうやって確認するかというと、実はこのはてなのダイアリーで振り返ることになる。
トムジィの日常雑記
これはまさしく日記の効用だといえるかもしれん。しかもweb上のそれは即座に、過去を振り返ることが可能だ。思えばこのいわば生活綴りを8年近く続けている。それまで日記などおよそつけたことのない人間がということになる。
いつものように脱線するところだ。そう、妻の装具もそういう年月を重ねて、所謂一つの経年劣化をしている。通常、この手の機具は日常的に常に使用しているので、耐用年数がある程度決まっている。一般的には1年といわれ、たいてい3〜5年で作り替えるのが普通という。いくら2本の装具を使い分けてきたとはいえ、7年はまずいといえるのだろう。
新しいものを作るといっても、妻の場合常に装着していないと生活できないため、今あるものをなんとかだましだまし使い続けなくてはならない。それで福祉関係のファイルをひっくり返して、以前作った装具製作会社の連絡先を調べて修理が可能かどうかを問い合わせたところ、持ち込んでくれれば直せるかもしれないということだった。そこで、先週の土曜日に持ち込み修理を依頼、あわせて新しい装具の製作についても聞いてみると、医師の診断書があればすぐにでも作れるということだた。いわれてみれば、2回目に作ったときも病院で診断書を作ってもらい、それをもってこの会社を訪ねた記憶があった。多少値ははるものだが、ある意味消耗品かつ必需品なので、作ってみようかと思った。
今使っている装具は半透明のプラスチックなのだが、最近の流行は(装具にも流行りがある!)、黒を基調にしているのだとか。妻もこれがいいという。こんな感じである。

そこで今日、毎月通っている近くの病院で医師に相談すると、装具の製作に必要な診断書はリハビリ医でないと書けないという。その後いろいろ調べてもらうと、結局装具を作るには、この病院で診察したうえで、装具屋に来てもらい細かく採寸してもらう必要があるので、診断書だけを作れないという。そのうえで、以前作ってもらったのが国リハならばそこに受診して作ってもらえばいいということになった。
とはいえ国リハを退院してからすでに6年もの月日がたっている。さらにいえば、国リハは今は入院患者へのリハビリに特化しているため、外来受診をほとんどやっていない。以前、障害者年金の診断書作成のために受診したときに代わったばかりの医師から、ここはそういうところではないとなじられたこともあった。この病院に6ヶ月も入院して急性期、回復期とそれぞれリハビリをやったので、一番障害の程度がわかるだろうといういことで受診したつもりだったのだが。
結局、国リハ向けの紹介状を書いてもらうことになったのだが、通常30分程度の受診なのに、この日はいろいろ待たされて2時間近くかかった。もっと簡単に作れるものかとも思ったのだが、装具一つ作るにもずいぶんとハードルが高い。装具屋にも電話すると、国リハで作るとなると、採寸等で出向かなくてはならないという。国リハへの予約、さらに装具屋との調整、その他もろもろを考えると何度か足を運ぶことになる。当然会社を休んで、妻を連れていくことになる。まあいたし方ないことではあるのだが、仕事を持っている身としては、なかなかにしんどいことでもある。
装具屋との話の中で、国リハで外来受診がほとんど出来なくなったのも、例の小泉改革の影響なんだとか。本当かどうか特に検証したわけでもない、小泉改革で効率性をお題目に競争原理を導入して、公共施設の民間開放を進めた結果、福祉現場でのサービスが極端に低下してきたというのがここ数年の流れだとも聞いている。障害者を巡る環境はなかなかにしんどく、ただでさえ高いハードルはさらに高くなっているようにも感じる。
さて新しい装具を作るには、どうしたらよいか。ただいま思案中である。