アームストロング死去

http://www.cnn.co.jp/usa/35020912.html:TITLE

なんとも懐かしい名前である。我々の世代にとってはある意味、偉大な人物として記憶されている。なんたって人類で初めて月に降り立った人なのである。1969年7月20日のことだ。中学生くらいだったのだろうかね、映りの悪い画像をけっこう鮮明に覚えていたりもする。
思えばあれから40年以上の歳月が過ぎた。当時からすれば、早い時期に地球と月との行き来は簡単に行われるようになるだろうと思っていた。ある意味、未来はバラ色だった。そして1970年には万博である。科学技術には無限の可能性があると思われた時代。そうだ、まさしく20世紀少年の時代だった。
しかしその後の人類の進歩はどうにも思わしくない方向に逸れていった。アポロが開いた夢の宇宙時代は、21世紀になっても夢のままだ。いやたぶん実現不可能な夢になってしまったということかな。そして「鉄腕アトム」などに描かれた未来社会はどうなってしまったのか。手のひらを上に向けて身をちょっとすくめてみせるしかないんだろうかね。
あれから半世紀近くたっても宇宙への道は険しいままである。もちろん湯水のように金のかかることが一番の理由なのかもしれない。アメリカだって、ベトナム戦争と宇宙開発によりかなり致命的な財政状況が悪化したんだから。しかしそれにしても、当時の技術力でよく月まで行けたもんだと思わないわけでもない。コンピュータだって大型で処理速度は滅茶苦茶遅かっただろう。今のPCレベル以下なんじゃないかとさえ思える。通信技術だって相当に低いだろう。
そういう疑念から、そもそも本当に人類は月へ行ったのかという根源的な疑いが向けられる。
アポロ計画陰謀論 - Wikipedia
http://www2g.biglobe.ne.jp/aviation/apollo.html
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おまけに「カプリコーン1」みたいな滅法面白い映画とかも作られているから、なおさらアポロも真相はこのへんじゃないのみたいなチャチャが入るようになる。

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http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/CAPRICORN%20ONE.htm
まあこの映画はユーモアたっぷりの娯楽活劇なんだけどね。
本当に人類は月へ行ったのか、庶民感覚での疑念は西原理恵子あたりが笑かしでやってくれている。佐藤優との共著『とりあたまJAPAN』の中にこんなマンガがある。ネームだけを引用するので面白さが伝わるだろうか。

お題 国際宇宙ステーション の前に言うよ、何度も言うよ。
人類は月に行ってないから。
今やっとスペースシャトルが大気圏外からふうふう言って帰ってきて
そんでこの宇宙ステーションやらも ちゃらっと宙に浮いとるだけやんけ
何で40年前に月面に行けたんじゃ。
お前、行く途中 身を全部捨てたろうがっ。燃料もなかったろ〜が。
窓もなかった パソコンもなかったろう〜が
100歩ゆずって気合いで着いたとする
お前どうやって帰ってきたあっ
「え〜と 地球はあそこらへんやし。」
山カンでジャンプして帰ってきたんかい。

まあ普通の感覚ですな。アポロ11号の、アームストロングの快挙も、その後の例えばアポロ13号の奇跡の生還も、みんな20世紀の大昔のことなのである。当時夢見たバラ色の未来世界はある部分実現している。携帯端末を誰もが利用できるようになったし、インターネットの普及はまさしく未来社会そのものだろう。なのにこと宇宙に関してはの進歩は40年前から一行に変わらない。様々に事情があるにせよ、淋しいことだと思うよ。そしてまたそれは人類の可能性とか、そういうものの限界とか、地球の資源とかもろもろの有限性とか、結局そういうことに行きついちゃうんだろうな。
大好きだった鉄腕アトムだって、3.11以後の世界にあっては、なんとも淋しいものになってしまう。アトム、ウラン、コバルトというネーミングが、当時の科学技術、原子力への何の疑問を抱くことない期待感、信仰みたいなものを表してはいないか。
情けない話ではあるが、1Fの事故を体験してしまった我々には、小型原子力機関を搭載したアトムは、廃棄物をどうしているのかとか、情けないつっこみを入れることになってしまう。フクシマ以後の世界を生きる我々にとっては、科学技術への無限の可能性だの、期待だの、夢だのは、残念ながら抱くことができないのである。
かって人類の英知の、可能性の象徴とでもいうべき月面着陸を成し遂げた超一流テストパイロット、常に冷静沈着で何事にも動じず、どんな障碍にも対応できるライトスタッフの頂点を担ったニール・アームストロングは最後にどんな夢を見ながら、向こうの世界に旅立っていったんだろうか。