真珠の耳飾りの少女

昨日は2次検査のため朝一から都内に出た。9時半くらいにクリニックにいき、血を抜かれ、さらに問診とかで1時間くらいで終了。ひっかかったのは高脂血症。これはここ数年、数値が高めだったのだが、今回いよいよひっかかった。まあ運動不足、酒の飲みすぎ、ストレスなどなどである。そういえば、ここ半年ほとんどジムにも行っていない。会費だけ払っているのだから、もう賛助会員、名誉会員みたいなものである。だって忙しいんだからしょうがない。
高脂血症も気になるけど、もう一つここのとこ気がかりなのは、血圧が高いこと。だいたい下が90あたりで、上も140〜160のあたりいったりきたり。上も問題だけど、どっちかといえば下のほうが本当に気になる。検診時も医者からは、もう通院して薬を処方してもらったほうがいいとまで言われている。まあ加齢といってしまえばそれまでなのだが、どうにもマズイ状態でもある。
妻がそういう病気になったこともあるが、自分自身も脳卒中とか心筋梗塞とかを気にかけなくてはならない、まあそういう状況になりつつあるのかもしれない。ポックリいく分には別に本人的にはかまわないのだけれど、家族のことを考えるとそういう訳にもいくまい。
なんか表題とはまったく異なる健康問題の話に流れてしまった。10時半過ぎに2次検査終了となって、さてこれからどうするかとしばし思案。すぐに鶴ヶ島に戻れば昼頃には会社に着く。そのまま仕事すればいいだけのことなのだろうが、この日は午後遅くから都内で会議がある。決算資料の承認とか諸々で、けっこう重い荷物抱えてきているのだ。一度会社戻って、2時間程度でまた都内に逆戻り、誰が考えても嫌だよそれ、ということになる。こういう日に検診入れたのは総務部長の陰謀に近いな。
ということで、近くのマックに入ってしばしこれからの時間つぶしをどうするか考える。そういえば上野にフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」がきていることを思い出す。早速iPhoneで調べてみると、ピンポンである。東京都美術館で9月17日までという。「真珠の耳飾りの少女」はたぶん初めて国内に来たはずだし、絶対に見たいとは思っていた。これは行くしかないだろう。会議は4時半からなので、時間的には圧倒的に余裕がある。水道橋まで歩いてJRに乗り、上野まで足をのばした。
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
東京都美術館は何年か前にやはり「オランダ、デルフト派の絵画展をやっているのを見て以来だ。ググるとまだHPとかが残っている。

フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」
TBS「フェルメール展〜光の天才画家とデルフトの巨匠たち〜」

「小路」「ヴァージナルの前に座る若い女」「手紙を書く婦人と召使い」「リュート調弦する女」「ワイングラスを持つ娘」なんていうのが来ていたんだったか。あの時は妻と娘の三人で出かけたので、当然車椅子押しての鑑賞。休日で混んでいたので、妻を一番前で鑑賞させるのに四苦八苦してたから、あんまり絵画を楽しむという雰囲気ではなかった。
今回は、ウィークデイのお昼前後なのでそこそこ空いているかもしれないという甘い期待を抱いてもいた。それでも夏休みだし、フェルメールで、あの「真珠の耳飾りの少女」である。そこそこに混んでいて、チケットは特に並ぶことなく購入できたのだが、入場までに15分程度待たされる。館内はメチャ混みではなかったが、それなりの人。それでも1点1点きちんと観ることはできる。
そしてお目当ての「真珠の耳飾りの少女」は、ここだけは物凄い混み方で、一番前で観るために30分ほど並んで待つ。さらに絵の前では歩きながらの鑑賞という具合である。しかし、一番前ではなくその列の後ろから観る分には、とくになにか言われることもなく、けっこうな時間観ていられる。私はというと、なんだかんだで30分以上この絵を観ていたかもしれない。
これまでに複製画や写真でしか観ることができなかった、この有名な絵を、オリジナルで観ることができたのは、それはそれで至福のひと時である。ややもすれば通俗的肖像画(特定の人物を描いたものではないため、トローニーと分類されるらしいが)とでもいってしまえば、それまでなのかもしれない。しかしこの絵はなにかしら人を引きつけるものがある。じっと眺めていると、どうにも魅了されてしまう。
ちょっとエキセントリックな風情の美少女は、向かって右側から眺めていると、鼻筋の通った美女という風に見える。これを左側から眺めると、なんとなく愛らしさが増す。光の反射の関係なのかもしれないが、なんとも微妙に表情が異なる。やはりこの絵は半端じゃない魅力を有していると思った。正直、もっと長い時間この絵を眺めていたかったが、本当に引き込まれてしまいそうな、年甲斐もなく心を奪われてしまうような危ない予感もしてこの絵から離れた。
もう一つこの絵画についての驚きは、製作されたのが1660年代だといこと。350年以上も前の作品なのである。日本では徳川時代の初期、元禄文化以前のことである。この時代に、すでに光と影を取り入れた技法が確立されていたことには驚嘆せざるを得ない。印象派よりも200年以上も前のことである。ヨーロッパにおいては辺境の小国であるオランダにおいて、これほど成熟した絵画技法が確立されていたことも同様に驚きである。
オランダは当時日本が唯一交易していた欧州の国である。オランダ絵画、所謂デルフト派の作品とかが、なんらかの形で日本に伝わったりした痕跡とかはないのかと、ちょっとした歴史的夢想に耽ってみたくもなる。
ところで「真珠の耳飾りの少女」であるが、私自身はこの絵を「青いターバンの少女」と覚えていた。いつから「真珠の耳飾り」となったのかとややもすれば首をかしげることもあったのだが、ウィキペディアとかの記述とかでは例の映画の公開あたりから「耳飾り」が定着したのだとか。

真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD]

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  • 発売日: 2005/01/25
  • メディア: DVD
この映画けっこう好きだし、フェルメール役のコリン・ファースも名演だとは思う。でもね、どんなにスカーレット・ヨハンソンが美人でも、やっぱりオリジナルの少女のほうが何倍も魅力的だとは思う。
ちなみに早くも家のパソコン、iPhoneの待ち受けなどを速攻この絵にしてしまった。もうすでに病気の状態である。しかし深夜PCの画面に映し出される少女の姿は美しくもあり、ややもすればちょっとホラーが入っていたりもする。