核燃サイクル認可進む

机の脇に3月19日付けの朝日の夕刊が置いてある。やれやれという気分とともに、何かメモを書こうと思っていてそのままにしてしまったのだろう。すでに旧聞の部類になるのだが、こういう記事である。

核燃サイクル認可進む
原子政策見直しの最中

原子力政策や規制のしくみを抜本的に見直す作業が進む中で、核燃料サイクルにかかわる事業に相次いでゴーサインが出されている。認可しているのは、間もなく組織が消える経済産業省原子力安全・保安院だ。「駆け込み認可は許されない」という識者もいる。
保安院は15日、電源開発大間原発青森県)の建設工事に関わる変更計画申請について、「技術上の基準に適合している」などとして認可した。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を100%使う世界初の原発核燃料サイクルにかかわる中核施設の一つだが、昨年の東日本大震災後、工事が止まっていた。
保安院は2月にも、青森県にある日本原燃のウラン加工施設の遠心分離器の設置を認可した。
3月19日 朝日夕刊1面

役所というところこういうことをやるのだ。福島第一原発事故はまったく収拾の目処がたたない。原子力政策自体を見直しをしなくてはならないのに、ましてや保安院自体が原発事故でまったく機能していないことが明白になってしまっているというのに。
今回の事故を通じて、保安院原子力安全委員会については、盗人が検事と裁判官を兼ねているみたいに揶揄されることがあるが、今回のまさしくそれだろう。まあ認可した保安院側からすれば、年度末だし、予算執行もあるしと、そういうきわめて事務的な部分での対応という認識なのかもしれないけど。
それにつけても思うのが、原子力政策に対する政治、あるいは政治家の影の薄さ、あるいは不在ということになる。民主党政府首脳、あるいは政治家はこの件をどう考えているのか。自民党はどうだ、諸手をあげて賛成か。その他の野党は・・・・・。
一番に思うのは、保安院が属している経産省のトップの判断だ。今回の認可についてのゴーサインは、どのあたりのサイン、判子で決済されるのだろう。保安院のトップの決済でいいのか、あるいは経産省事務次官までいくのか、あるいは経産省のトップまでいくのかどうか。
ようは枝野さんはこの件をきちんと関知しているのか、そのうえで承認したのかどうかということだね。彼は去年の3.11の後、おそらく保安院経産省の役人の振り付けどおりの記者会見をした。そして「ただちに健康には影響はない」という最悪の発言を歴史に残してしまった。たぶん忸怩たる思いをしたはずだ。
その後、経産省の大臣に返り咲いてからも、東電に対して、あるいは経産省の役人にとっての省益を損ねる発言を少なからずしてきていたはずだ。
今回の件について、きちんと枝野経産相の見解を聞きたいと思っているのは私だけだろうか。