女子サッカー代表ワールドカップ優勝

http://www.asahi.com/sports/update/0718/TKY201107180001.html
なぜか3時過ぎにむくむくと起き出して、ライブで観ちゃいましたよ。しかもエアコンもかけずに。
しかし快挙であると思う。戦力的には圧倒的に上であるアメリカに2度も先行されながら追いついた。そのうえでのPK戦勝利、素晴らしいの一言である。もう最後の数分は消音して観ていた。ほとんど駄目だろうと、何度もテレビ消そうかとさえ思ったくらいだ。
アメリカは10回以上の好機の中で2点をとった。それに対して日本はというと、120分間の中でたった2回だけあったゴール前でのチャンスをものにした、そんな感じである。もうほとんど神がかり的である。沢の2点目は本当にどこで蹴ったんだろう。ヒールかアウトでひっかけてのが、たまたまワンバックの腕にあたって、そんな感じだったか。もうあれは本当に神であると思った。
あの取られても追いつき、取られても追いつきのうえでのPK戦である。うまくすれば日本に勢いがあるからかなりいけそうだとも思った。それでもアメリカの圧倒的な実力を考えるとどうだろうとも思った。しかしなんとなく想像していたとおりにアメリカは自滅してくれた。やっぱりサッカーは、特にPK戦はメンタルな部分がえらく影響するのだろう。
しかし、女子だろうがなんだろうが、FIFAワールドカップである。男子サッカーについていえば、自分が少年の頃の感覚でいえば、生きているうちに日本が本大会に出場するのはたぶん無理だろうとさえ思っていた。それがとりあえず毎回出れるようにはなったけれど、日本代表が優勝するなんてことは夢にも思えない。そういう世界の話である。それを女子代表は見事にやり遂げたのである。
試合が終わった瞬間に思ったことは、とにかく生きていて良かったと。そして試合中から、例によってふだんはひた隠しに隠している我が心のナショナリズムがもたげてもたげて。もう試合前の日の丸、君が代から目がうるうる状態だったし。最後、選手たちが手にする、身に着ける日の丸の姿に画面がぼやけてきて。
澤の活躍も凄いことだと思う。とにかくここぞの場面で点を取れるのはエースの証明だ。今大会、MVPにして得点王である。これがどのくらい凄いことかって。フランス大会のジダンは得点王をとっていないぞ。おそらくメキシコ大会のアルゼンチン、マラドーナに匹敵する快挙なんだろうと思う。第6回ドイツワールドカップは、「澤による澤のための大会」として記憶されることになるんじゃないか。
個人的には1点目を決め、PK戦でも最初のキッカーをつとめた宮間のあるときは華麗なフリーキック、あるときは泥臭くゴールに飛び込む、そしてまたあるときはクールなPK、さらには表彰台でのお茶目なプレーぶりなどなどがえらく気に入った。
ほかにはネットでも話題になっているサイドバック鮫島のお買い物ドリブル。でも鮫島のやや腰高ではあるが姿勢の良い、あのドリブルはバランスが安定しているし、視野も広そうだし、けっこう理想的だと思う。彼女は元々サイドハーフからコンバートされたということらしい。今後の男子サッカーでもこういった選手をMFからコンバートしていく必要ありそうだな。
個人的な技術やチームとしての戦術、さらには身体能力の部分でも、たぶんアメリカやドイツのほうがはるかに上回っている。おそらくブラジルとかも技術は上だろう。それでも日本が勝てたのは、ひたすら走り回る運動量、スタミナ、精神面といったところか。このへんはおそらく男子代表の今後の戦術にもつながっていくのではないかと思う。
身体能力ではヨーロッパや南米には及ばない。技術面でもしかりだ。日本人にあったサッカーは、とにかく豊富な運動量と組織されたパスサッカー、さらには泥臭さ。かっこいいサッカーなどやっていてもアジアではなんとかなっても、世界では通用しない。なでしこサッカーは、たぶん今後の日本サッカー全般の指針になっていくのかもしれないな。
とにかくおめでとう女子サッカー代表!7.18を私はけっして忘れない。さえない我が生涯のなかでも最良の1日のひとつだと思う。一サッカーファンとして、一日本人として、この日をたいへん嬉しく思っている。