松本復興相辞任

確かにテレビで報道された宮城県知事との会談時の傲慢な態度はひどかった。おまけに辞任会見では九州男子で自己表現がどうのみたいな弁明。自爆といわざるを得ないのだが、もともと菅首相に対しても否定的だったし、政権の弱体化、あわよくば任命責任を含めて菅首相退陣を早めるための自爆テロに打って出たというところか。もちろん反菅陣営からのフォローがあってかなくてか。
もともと有数の資産家だという。報道にもあるようだが、部落解放同盟の初代委員長でもあり、同和運動を長く指導してきた松本治一郎の養孫でもまる。
松本治一郎とはまた懐かしい名前である。学生時代、戦後史とか戦後政治史をかじっていた時期があったので、けっこうこの人の名や業績に接することもあった。自ら部落民として被差別部落問題に取り組み、戦前から国会議員も務めた。反骨、反権力の人であり、また一代で土建業松本組を起こし、九州では中堅に位置する企業にしている。当然、ヤクザとのつきあいもある。相当に懐の深い人だったといわれる。
戦後、マッカーサー尾崎行雄とこの人を日本の民主主義の象徴的存在と位置づけていたが、吉田茂から憎まれて、公職追放の憂き目をみる。その理由は戦争中に大政翼賛会推薦議員だったからということだった。
吉田茂は松本の反天皇制的な主張を忌み嫌っており、なんとか彼を公職追放に追い込もうとする。1949年すでに逆コースが始まっており、保守的政治家達の公職追放解除が進む中で、松本治一郎公職追放になる。
このへんのことをけっこう興味深くいろいろ文献等を読み漁ったものだった。あの松本治一郎の孫が政治家として、復興大臣になっていたということなのである。聞けば松本龍は松本組に顧問であり、部落解放同盟の副委員長についているというし、その父親英一は治一郎の甥で養子になり、同じく解放同盟の要職、国会議員も歴任しているという。
ようは地元九州にあって、部落解放同盟、松本組の初代、二代目、三代目とうまいこと世襲によって地位が連綿と受け継がれているということなわけだ。おまけに国会議員職も世襲されているということだな。こういうのって、運動としてはどうなんだろうかね。まあ大目にみていいのは、せめて家業の土建屋さん松本組だけじゃないの世襲でやっていいのは。
なんか被差別部落の解放運動が松本家の家業みたいな印象で受けとめられるのは、なんとも納得できないというかなんというか。ネトウヨあたりなら隣国北○○あたりの類推で揶揄しそうな気配だ。
そういう背景を考えつつ、あの上から目線の「いいか、お客を待たせるのは」みたいなもの言いのニュースをみると、同和の押しの強さみたいなものかね〜と思ったりもする。
結論的にいうと、とにかく世襲はあかんよ。政治や社会運動にあっては。そしてね、つくづく思うわけ、えらいのはやっぱり初代だけなんだろうなと。
松本治一郎 - Wikipedia