地震、計画停電、マーケットの収縮

ここ2〜3日は計画停電も中止となり、ほぼ通常業務に戻りつつある。今日も11時過ぎに会社に出る。もう慣れっこになった休日出勤である。3時間くらい溜まりに溜まった通常業務系の幾つかを片付ける。袖机に山積みになった書類の類を整理(まあ実はほとんどがゴミ箱に直行だったり)。
それから地震計画停電関係の資料、作成文書、その他もろもろをファイルに整理する。たかだか10日程度だというのに、えらいこと文書類が溜まるものである。そうそう被害にあった商品の処理に関してのレポートも一昨日はほとんど徹夜して作成したっけ。これもファイルする。
こうやって資料をファイリングしていくと、なんか一山越したみたいな感じになっていく。実はこれからが様々に大変になっていくはずなのにであるが。
今後一番気になること、それは一にも二にも売上げの減少である。被災地の方々には申し訳ないけれど、とりあえず自分たちのしのぎに血道をあげていかなくてはならないのである。地震とそれに続く計画停電の影響は本の商売にも様々な方面で影響を与えている。まずは物流面である。被災地を中心とした東北だけでなく、地震直後は北海道あたりでも物流がほとんど届かない状況だったと聞く。取協や取次各社の案内でも当初、書店への配送は一日おきになったとも聞く。
読者直販に直結する宅配についても、当初東北六県、北海道への荷物の引き受けが停止されていた。これは数日でじょじょに解消されてきているが、当然のごとく被害の大きかった岩手、宮城、福島では海に面した地域ではほとんど荷物が届かない状態であるという。
首都圏周辺でも物流倉庫は大なり小なり地震の影響を受けている。うちなどはまだまだ小規模だから被害も、その片付けも最小限に抑えたほうではないかと思う。それでも数万冊に被害は出た。聞くところによると大手取次倉庫ではスプリンクラーの誤作動があったという。市川にある某ネット通販大手の倉庫はかなり痛手が出ているとも聞く。先日も新聞で国会図書館で落下した出版物は100万冊以上と出ていた。
計画停電の影響も深刻である。交通機関の間引き運転の影響もあり、通勤客は出来るだけ早く家路に向かう。都内の繁華街の灯は暗く閑散としている。書店も7時頃に弊店するところが増えているとも。停電になると自家発電機能でも持っていない限りは店を閉めなくてはならないのだから深刻である。
工場や倉庫であっても同様である。日中に停電が2〜3時間続くのである。一時的に操業を止めなくてはならないのである。うちあたりでも昼でパートを全員返したことも1、2度あったか。こうした状況が続けば非正規雇用からどんどん切っていくということが、各現場でも起きていくだろう。
そうした周辺状況は別にしても、とにかく地震以来、注文が激減している。当然、出庫量も減っている。誰もがこれは地震による一時的な影響と思い込みたがっている。でも本当だろうか。頭の中が疑問符だらけの状態である。
被災地である東北六県のマーケット自体は全国レベルであればそれほど大きくはない。しかし計画停電が実施される首都圏のマーケットとなると、これはある意味シェアの4〜5割あってもおかしくないレベルである。計画停電による直接、間接の影響によるマーケットの収縮となると、これはとんでもない深刻な不況が訪れるということになる。
そうした観点を論じた人はいないかといえば、ネットにも当然のごとくたくさんいる。その中で最も早くに語っているのがこへんだろうか。
首都圏の停電という日本経済の思わぬ伏兵 – アゴラ

しかし筆者は、日本経済が陥る最悪のシナリオにも言及する必要がある。首都圏の停電が長引くようだと、多くの企業の収益が悪化する。また莫大な支払義務が生じる保険会社の財務状況も心配だ。こういった企業業績の急速な悪化で日本の金融機関も不良債権を多く抱えることになるかもしれない。また停電により多くの工場が操業を停止しており、日本経済の供給サイドが毀損していく可能性がある。それが物資の供給不足を引き起こし、インフレーションがはじまる。そして復興支援にかかる財政負担が、日本国債を臨界点に押しやり、暴落の引き金を引くかもしれない。日本経済のメルトダウンである。

「日本経済のメルトダウン」、なんとも恐ろしい表現ではあるが、その可能性は否定できないところだ。しかしそこまでいかなくとしても、確実に未曾有な不況が始まりそうな予感がする。