ハイ・フィデリティ

明け方までDVDを3本はしご。久々に映画三昧のという感じである。TSUTAYA発掘良品でB級佳作シリーズを借りてきたわけ。
最初の1本がこれ。

ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: DVD
http://pia-eigaseikatsu.jp/title/1442/
もてないロックオタクなダメ男を主人公にしたもの。2000年の作品。主人公が画面に向かって自分の内省を語りかけるのは、この時期けっこう流行った映画文法だったかな。いやそれ以前、70〜80年代にウディ・アレンとかの作品あたりからか。
けっこう面白く観れたけれど、実際にこういう人物が周囲にいたらかなり嫌なタイプだと思う。戯画化しているんだろうが、自分を振った女性にほとんど躊躇せずに電話できちゃう無神経さがたまらない。
よくよく観ていると、この主人公けっしてもてないわけではない。とにかく自己中心的で相手に理解されることを求めない、自分自身をさらけ出さないタイプ。だから相手は自然と離れていくのである。そのくせ女性にはいつも目移りするように、若くて、綺麗な女の子には、次々と恋していく。
最後に、やっと自分のそうした性格を見つめ直して、最後に別れた彼女とどうにかよりを戻す。なんつうか大人になりきれないオタクが、ようやく自分を再認識してなんとか成長していくというようなお話。全体として戯画化というか、コミカルにコミカルに作られているのが救い。
主人公は中古レコード屋を経営していて、とにかくロックオタク。同じくオタクな店員たちとのやり取りや、オタクならではのコアなロックへの思い入れとか、バックにかかるそこそこに趣味の良い音楽など。けっこうそういう細部でのこだわりとかのリアリティが、登場人物たちの戯画化された部分と相まってけっこういい雰囲気をだしている。だもんで、けっこう普通に面白く観れてしまう映画ではある。
主役のジョン・キューザックがなかなかいい味だしている。途中、本人としてカメオ出演するブルース・スプリングスティーンになんとなく雰囲気が似ている感じがする。
この映画にはジョンの姉であるジョーン・キューザックも出ている。明るいコメディエンヌタイプの彼女が9年後には「私の中のあなた」で重厚な判事役をやっていたりもする。このへんの変貌もちょっとびっくりだな。