オリエント急行殺人事件

TSUTAYAの以下の企画コーナーで思わず借りてしまった。
発掘良品 - TSUTAYA [T-SITE]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E6%80%A5%E8%A1%8C%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6_%281974%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB%29:TITLE
なんとも古風な作りの映画である。1974年の作品。36年前である。そりゃ古いわなと思わざるを得ない。高校生の頃、たぶん映画に目覚めて、いっぱしの小理屈こねていた頃、いわゆる映画少年していた頃に観た映画の一つである。なんとも長生きしてしまったわけである。
超有名なアガサ・クリスティの原作の映画化、これを当時ですらややオールド感のある豪華スターの競演で描いた作品。そう、それがある意味総ての映画なのである。社会派でならした職人気質の監督、シドニー・ルメットがとにかくきちんと原作に則って、かつ各スターの登場場面等見事均等というか平等に、それも計ったようにして撮った作品。
原作をとにかく2時間の枠に収めつつ、登場人物をきちんと割り振るため、正直お話自体はわかりづらい。でも大丈夫、この映画を観る人はみんな原作読んでいるから、公開当時の感じだとなんかそういう風だったと思う。スケールや質は違うけど、「20世紀少年」と一緒。著名な原作をもつ強みというか、原作に凭れ掛ってというか・・・・・。
だから映画の中での富豪令嬢の誘拐事件とかの顛末もわかりづらく、劇場で観た映画少年の自分なんぞも、シナリオこなれてないね、などと友人と語り合った記憶もある。
まあこういうオールスターキャストみたいな映画は、スターの演技合戦とか、そういうところを観て楽しむという、そういう映画なんだろう。実際、今回見直してみてもローレン・バコールの存在感は圧巻だし、この映画でオスカー助演女優賞を取ったイングリッド・バーグマンはこれまた見事な演技力とでもいうべきか。
おまけにこの映画ではウェンディ・ヒラー、ジョン・ギールグッド、ヒルデガッド・シュミットといった重厚なバイ・プレイヤーがバコール、ウィドマーク、バーグマンに勝るとも劣らない名演技をしている。映画通を気取るためにもけっこうためになる映画でもあったわけである。
そんななかでも当時もそうだったのだが、30数年を経ても私の好みは実は変わっていなかたりする。一番好きなのはバネッサ・レッドグレーブである。彼女の凛とした姿は、本当に素敵なのである。この人の出た「ジュリア」は今も愛してやまない映画の一つである。あの映画は個人的にもファンであったジェーン・フォンダがバネッサ・レッドグレーブに敬意を込めて製作した映画、そしてそれに見事に応えた彼女の演技、そんな風に理解した映画だったと思う。
まあこれはまた別の話か。今日、もし日本でこの映画をリメイクしたら、バネッサ・レッドグレーブの役は誰だろう。やっぱり真矢みきあたりだろうか。同じ元宝塚組でも天海祐希だと、ちょっとキャラが異なるか。まあこれもまたまったく関係ない話である。
30数年ぶりに観て思ったことの一つ、この映画はオールドな鉄道ファンにはけっこうたまらない魅力があるのではないかな。オリエント急行蒸気機関車がよく撮れているんだな、これが。私はおよそ鉄道とかにはうといが、この映画の蒸気機関車はたいそう魅力的である。そうこの映画のある意味での主役はタイトル通り、映画の主たる舞台であるこの蒸気機関車なのである。
Paris 230G353 Petite Ceinture Paris France 8th April 1989 | Flickr