ハート・ロッカー

ハート・ロッカー [DVD]

ハート・ロッカー [DVD]

  • 発売日: 2010/09/02
  • メディア: DVD
新しいテレビということで、とりあえずTSUTAYAで新作っぽいものを借りてきて観た。
アカデミー作品賞、監督賞を元ダンナのジェームズ・キャメロンと争い、きっちり受賞を勝ち取って話題になった映画である。
イラクを舞台にして、死と隣り合わせの日々を送るアメリカ軍爆弾処理班の活躍をドキュメンタリー風に描いた戦争アクションである。
監督のキャスリン・ビグローはなかなかに骨太な映画作りをする。観ている限りで女流監督的な線の細さみたいな部分はほとんど感じられなかった。
爆弾処理班の命がけともいうべき緊迫した作業は映画的題材としてはなかなかに面白く、ある意味この題材を見つけたことが、この映画の成功の総てなのかもしれないとは思った。
しかしなんとなくではあるが、登場人物は類型的であること、背景となるべきイラク戦争の意味性とかが極端に曖昧になっていること、爆弾テロの意味合いとかもほとんど描かれることもなく・・・・、などなど。ようはなぜ米軍は、彼らは中東の地でこんな任務についているのか、そういう部分がすっぽり抜け落ちているような気がする。
爆弾処理という緊迫した部分の描き方はとてもスリリングで面白い。でもなにやらそれだけのB級サスペンスみたいな部分もなきにしもだ。湾岸戦争を舞台にしたサム・メンデスの「ジャー・ヘッド」のほうが、よりあの戦争の意味性みたいなものを描いていたようにも思う。一切戦闘シーンがないという異様な戦争映画ではあったけれど。
しかしところどころで面白い部分も散見した。例えば米軍の下請けでイラクの反政府、反米軍の兵士を追う民間の軍事組織の存在。彼らは戦場で賞金稼ぎのような形で最前線で戦闘を行っている。この下請け戦闘軍というのがいかにも今風である。
またいつの時代にもいるような時代がかったような大隊長あたりか、マッチョな大佐が爆弾処理にたけた主人公を褒め称えるシーンなどもいかにもという感じで面白かった。
主人公の描き方やこういうマッチョな大佐の登場など、この映画にはどことなく「地獄の黙示録」の影響とかを感じる部分もあったかな。
まあとりあえず自室で32インチで映画が観れて良かった。そういう心根だったので、どちらかといえばこの映画には少し甘い評価があったかもしれん。
戦争映画好きなら、押さえておくべき映画だとは思う。

WAR IS DRUG

これはある意味、真理なのかもしれない。