土岐麻子「乱反射ガール」

乱反射ガール(DVD付)

乱反射ガール(DVD付)

  • アーティスト:土岐麻子
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: CD
5月に出た土岐麻子のニューアルバムである。もう数ヶ月経過しているから、”ニュー”ではないかもしれないか。
相変わらずの土岐麻子である。80〜90年代のシティ・ポップへのオマージュというか、それを
今風に料理したというか、ある種の再解釈みたいな、まあそういう感じのアルバムである。そういう意味では、ここ数年の彼女の作品の流れに沿っている。新味はないかもしれない。でも確実に、様々な意味での完成度が、成熟度が増している。
短いイントロに続く「乱反射ガール」の心地良さ。彼女の心地良い声にぴったりとあったコケティッシュなリズム、サウンドに、もういきなりノックダウンである。「熱砂の女」、「薄紅のCITY」と続くラインナップは素晴らしい。個人的には「薄紅色のCITY」の乱降下するコードラインはお気に入りである。たぶんこのアルバムのなかでの個人的なベストだと思う
この他にもビートルズマイケル・ジャクソンのカバーも例によってうまく消化している。実にいい一枚である。
土岐麻子は、ここのところずっとマイ・ブームの中心に位置する一人だ。コンテンポラリーミュージックという意味で、あるいは21世紀の同時代性という意味では、ユーミン古内東子といった先達を超えて、女性ヴォーカリストとして第一人者になりつつあるのかもしれないなと、まったく個人的に思ってみたりもする。
声、ルックス、雰囲気、すべてにおいてまったくの私の趣味、ストライクゾーンなのである。