秋葉原へ行く

去年は原宿や六本木で遊んだのだけれど、今回は娘の思いつきで秋葉原に行くことにした。我が家の娘はもう完全にアニオタ化しているのである。そこで聖地を訪れたいということか。でもあとで聞くと、単にアニメイトでコミック本が買いたかっただけとも言う。
秋葉原は確かに祝祭空間化しているな。お盆で地方都市からアニオタ族が続々と繰り出しているのだろう。そういう若い男性群がゾロゾロといた。そしてけっこうあちこちでそういう人々のためのグッズ販売系のイベントがもろもろあって。
娘はそれらが面白いのかというと、なんとなくそうでもない風である。妻もまたあんまりという感じ。なんとなく途中からなんでこの場所にいるのか、わからなくなってしまうくらいだ。とはいえ、例のアニメ、コミック系の専門店、アニメイトに入ってしまうと、娘はもうなかなか出てこない。結局、アニメ、コミックに囲まれていたいだけなんだろう。
秋葉原の街の風景を眺めていると、やっぱり例の殺傷事件のことが思い出される。まあこれ自体がきわめて紋切り型のイメージなのかもしれないけれど。どの風景、どのビルを見ても、あの時のニュース、報道で繰り返し流された景色とほとんど重なってしまう。まああれだけのインパクトがある事件のあった場所だけに、これはまあ普通の感覚なのかもしれない。
私にとっての秋葉原というと、これはもうまったく違う感覚がある。ここはかっての私の仕事場でもあったからだ。かれこれ20年近く前のこと、当時勤めていたのはコンピュータ系の出版社だったから、そこで営業をしていた私はほぼ週に1度はこの街を訪れていた。
パソコンといえばNECの98が全盛になりつつある時代である。パソコン関係の書籍は良く売れたのだが、まだまだ市中の書店ではきちんと品揃えされていなかった。当時のパソコンオタクたちは、この街でパソコンの新しい機種に触れ、周辺機器やら、部品などを仕入れ、さらには新しい情報を得ていた。そのためパソコンショップはどこも関連書籍を置いていて、それがまた良く売れた時代だったのだ。
私もさかんにショップ通いをして、自社の書籍の売り込みと、どんな書籍、言語、ソフト、その関連書が動いているかとさかんに情報収集していた。そこで仕入れた情報を元に、一般書店での販売戦略とかもいろいろ考えたりもした。ちょうどその時期に業界でも関連出版社が集まって、やれコン販研だとかを立ち上げて、コンピュータ書販売の拡販を進めた時代だった。もちろんその立ち上げとかにも少しだけ携わったりもしたから、そのへんのもろもろのことを思い出すと、なんとなく懐かしい部分もある。
まあそんなこんなで私にとってはアキバはある意味仕事場だった。その頃、パソコンショップでもっとも関連書を売ってくれていたのが、ラオックコンピュータ館である。そのラオックスが中国人に買収され、コンピュータ館はとっくに閉店して、今は空きビルになっているのを見ると、なんとも隔世の感にとらわれてる。
まあさまざまな意味で時代は変わってしまったのであると。

アキバといえばゲーセンの太鼓の達人である。今でもいちおうそれらしき人がいるというのがちょっと嬉しい。

たぶんこのへんが、秋葉原のメインストリートなのだろうか。