ポーラ美術館

30日、31日と家族で箱根旅行へ行ってきた。例によって健保の宿に泊まった。ここに来た回数だって、たぶん片手以上になっているはずだ。近いくて、安い、いわゆる一つの安近短みたいなもの。もしくはプチ贅沢。
ここではいつも介護風呂を利用するのだが、今回は風呂釜の故障で使うことができなかった。なんでも2〜3日前の雷の影響なんだとか。普通の風呂を妻と娘だけで入れるのかどうか、ちょっと心配ではあったのだが、なんとかなったみたい。妻に言わせると、けっこうここの風呂は入りやすいという。あとなんだかんだいいながらも、中学生になった娘が少しずつ戦力になりつつあるということか。
今回の旅行では、昨日のことだけど、午前中は彫刻の森美術館へ行き、午後の少し遅い時間に念願のポーラ美術館を訪れた。前からずっと行きたいと思っていたところ。同じ仙石原に宿をとっているのに、なぜか行きそびれていた。なんかいつでも行けるみたいなイメージか。それとたぶん偏見ではないのだろうけど、なんとなくどうせ例によって、おきまりの観光地のちょっとしたミュージアムみたいな、そんな先入観があったりもして。
で、どうだったか、はっきり言いますよ、ここは「買い」です。素晴らしいの一語につきますね。環境に配慮した建物の綺麗だったし。なんでも計画時に、国立公園内に建てるため、自然保護を主張する住民から反対運動があがったとか。まあいろいろと主義主張はあるにせよ、なんとなくエコ原理主義みたいな匂いもしそう。
そういうことに配慮したため、建物の主要部分は地下に作られていて、エントランスから中へ入るとエスカレーターないしエレベーターで地下に降りるようになっている。このへんは山一つくり貫いて作った徳島の大塚国際美術館なんかとも共通するものがある。
ここの収蔵品はというと、ポーラ化粧品のオーナーであった鈴木常司が収集した美術品で、その数9000点以上とか。とくに印象派や近代以降の日本絵画のコレクションが評判だとも。
http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/01.html
ポーラ美術館 - Wikipedia
いや〜素晴らしいな。ルノワール、モネ、セザンヌなどなど。モネはこの1枚をぼーっと観ていたかな。時間にして5分くらいか。構図もいいし、なんか心にしみ込んでくるものがあるのよね。
<散歩>
http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=73
セザンヌはこの2枚。
アルルカン
http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=28
<4人の水浴の女たち>
http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=31
いずれも素晴らしい1枚だと思う。そして今回一番印象に残ったのは実はこの1枚である。
<野辺>
http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=122
別にジジイのエロ心ではない、断じてない。そのうえでどうだろう、そんな言葉があるかどうかは知らないけど、清美に満ちたエロチシズムがあるではないか。これが描かれたのが明治40年という時代を思うと、けっこう画期的な絵だったのではないかとも思う。当時の文学青年たちに愛された名品なのではないかとも思う。
黒田清輝はあの有名な切手の絵柄、「湖畔」だっけ、あれを含めて、基本的には嫌いじゃない。しかし「野辺」のような作品が数多あるのである。一度上野できちんと味わってみたいなとも思ったりもする。
ポーラ美術館については、いちおう前調べをしていて、スーラも1枚所蔵されているときいていた。寡作なスーラの作品だからけっこう楽しみにしていた。
<グランカンの干潮>

でもこれが見当たらない。そこで案内係りの方に聞いてみると、一度調べますと奥にひっこんでからなにかファイルをもって出てきた。「こちらの作品は貸し出し中です」とのこと。後で調べると、こっちにきているのだとか。
http://www.tbs.co.jp/pola2010/outline.html
正直、がっかりである。でもまあいいか、次に来た時の楽しみも増えたというものである。たぶんここにはこれから何度も来るだろう。箱根に来る新たな楽しみができたということだから。