グスターボ・ドゥダメル〜シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ


とりあえずこの動画である。素晴らしいの一語に尽きるではないだろうか。若く才能ある演奏者たちが集ったオーケストラ。それを同じく若き優秀な指揮者がリードする。クラシックコンサートではありえないような開放感と躍動感。クラシックミュージックの高い敷居をとっぱずして、その魅力をありありと伝えてくれるではないか。
以前NHKで放映されていたのを観て感動したのだが、いかんせん年のせいか指揮者の名前その他もろもろを失念していた。今日別件でネット検索をしていてドゥダメルの名前に反応、さっそくググってみる。そうあの時の指揮者はこの人でした。
グスターボ・ドゥダメル - Wikipedia
南米系の指揮者とは認識していたのだがベネズエラ人だったか。しかも若い、1981年生まれだからまだ29歳。テレビ放映されたのはこの人の特集だったようで、いくつかのオーケストラを指揮した曲が放映されていた。若くて生きのいい指揮者が、しかも南米出身らしいというのが異色だったので、なんとなく覚えていた。そしてこの若いオーケストラとのアンコールである。正直鳥肌ものだった。再放送でもされないかとも思っていたのだが、名前がわかると案外簡単にYouTubeでヒットする。嬉しい世の中である。
ドゥダメルは新進気鋭の指揮者ということになるのだろう。イエテボリやロスの交響楽団で経験を積んで、いずれはもっとメジャーな楽団を渡り歩くことになるのだろう。指揮者の資質とかはよくわからないけれどたぶん才能ある人なんだろうな〜と思う。でなければ20代でこうやって台頭してはこないだろうから。なんたってこの世界はけっこう厳しいところだから。そして南米出身というのもこの人にとっては一つの特色というか売りになるのだろうとも思う。
そして若きオーケストラ、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラである。本当にメンバーが若い、おそらくみんな10代なんだろう。才能と若さ、この中からいずれ何人ものソリストや一流オーケストラのメンバーに育っていく演奏家が輩出するのかもしれない。
このオーケストラ自体はベネズエラ社会福祉、教育の一環の中から生まれたものだという。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ - Wikipedia
エル・システマ - Wikipedia
ベネズエラ社会主義政権はチャベス大統領の独裁化が進んでいるとかいう話もあるにはあるけど、こういう教育施策が行われていること、その中から若い才能が生まれてくることは素晴らしいことじゃないかと思う。貧困層の子どもたちに無償で楽器を与えて、クラシックの素養を身につけさせる。その中からこうしたプロの音楽家が輩出されてくる。システムとしても良くできていると思う。
技術的にはまだまだ未熟な面もあるだろうが、実際映像からみた彼らオーケストラの面々には音楽を演奏することの喜びが溢れていると感じられる。それがとても魅力的だ。
今回YouTubeの動画を観ていて不覚にも目がウルウルしてきた。年のせいか感動がすぐに目にくるのである。そしてクラシックミュージックの素晴らしさを改めて感じ入った。
ちょっと思ったことだけど、このオーケストラはまさしく「のだめ」的世界ではないかと。ドゥダメルはそれこそ千秋クンであり、オーケストラはライジンスター・オーケストラである。なんかコミックの世界がリアルに現出しているような気がする。
それこそコミックでの話しではないが、若くて無名な演奏家たちに新しい活動の場所を与える意味でも、新しいオーケストラがあってもいいのではないかと思う。なんでもかんでもポップにふればいいというのではないが、若者だけに可能なクラシックもあるのではないかと、そんなことも思う。
最後に今回の動画に即していうと、48秒あたりの最初の「マンボ」は正直鳥肌ものである。そして1:10秒あたりで肩をゆすっているフルートの彼女はとても魅力的だ。このへんはしょもないオヤジ趣味である。そして最後の総立ちでそれぞれが勝手に歩き出すパフォーマンスもまたえらく魅力的である。
こういう動画を何度も見返すことができることに感謝、YouTube万歳といったところか。