天橋立

京都には2泊した。出版健保の宿すみのくらに29日、30日と連泊。ゴールデンウィークだったがうまく抽選申し込みで当たった。ここは嵐山の駅から徒歩5分程度、渡月橋にも2〜3分と最高の立地。ただし車で行くとなると細い路地みたいなところを通っていくのでいささか難儀する、そういうところである。
ここへはここ数年で3回目くらいになる。京都観光で1回、USJに連荘で行くときにも利用した。今回はゴールデンウィークのため、たぶん京都はどこへ行っても混むだろうと予想。まあ電車やタクシーを使えばそれなりの観光はできるだろうけど、うちのように車で移動しなくてはならないとなると、どこへ行っても駐車場探しが大変なのである。閑散期ならなんとかなるかもしれないが、ゴールデンウィークとなるとまず難しいだろうと、まあ経験上予想がついた。
そのため今回の旅行で京都市内観光は最初から諦めていた。まあどこへ行っても寺巡りみたいなものだし、どうせこれからも何度も訪れるだろうから、別の機会にみたいなことを思ったりして。今回は多少足を伸ばしてでも、ふだん行きそうにないところへ行ってみようかと漠然と考えてみたのが、旅行に出かける数日前のこと。それで思い立ったのがここである。
http://www.amanohashidate.jp/index.html
天橋立 - Wikipedia
日本三景の一つである。事前にネットとかで調べてみると文殊地区に数箇所駐車場があるので、連休合間のウィークデイの30日なら車を止めて観光もできるだろう。観光場所としてはこじんまりとまとまっているので車椅子を押しての移動も無理なくできるだろう、さらにいえば有名な観光地だからそこそこに身障者対応とかもされているのではと、まあこんなことを一応は考えてみたりもしているわけだ。
京都からは沓掛ICから京都縦貫道にほぼ一本道である。走っている間も亀岡あたりまでは普通に建物があり、田園もありと地方的なありきたりの景色なのだが、丹波エリアに入ってからは一面山だらけである。地区的には京丹波とかいうのだろうが、このへんは本当に山ばかりである。京都にいるという実感がまったくない。丹波というと丹波篠山と連想するがあれは兵庫県だったか。まあ兵庫と京都に隣接した山間の地区がいわゆるひとつの丹波という場所なんだろうと勝手に思ってみる。
我が家の旅行は基本はのんびりなんで朝早くから動くということがあんまりない。特にお泊りの場合はたいてい宿を出るのが10時過ぎという体たらくである。それでも道路は空きに空いていたこともあり、12時過ぎには天橋立に着いてしまう。
ホームページにもあるように天橋立の周囲に宮津文殊、府中、栗田・由良の4つのエリアがある。天橋立を眺望して、特に股のぞきという逆さまに見ることで一番有名な笠松公園があるのは府中エリアなのだが、最寄駅近くで一番賑わっている、天橋立にも一番アクセスし易そうなのが文殊エリアらしい。観光案内とかを見ても一番駐車場が多いのもここなので、ここを中心にするのがいいのだろうと決めていた。
訪れて最初に天橋立に一番近い智恩寺駐車場の前を通ると早くも満車のたて看が出ている。それで少し離れた市営駐車場へ行くとここはもうガラガラ状態、天橋立からはだいぶ離れているが仕方なくここに車を入れる。そこから車椅子を押して智恩寺まで戻る。それから少し戻って線路を越えてケーブルカー乗り場まで行く。行き先は天橋立ビューランドである。
日本三景 天橋立ビューランド
ケーブルカーの駅は階段を少し登って切符売り場へ行く。それからまた階段の登って改札、ホームへということで車椅子から降りて登らなくてはならない。階段自体は短いけれどちょっと難儀な感じである。ビューランドのホームページには車椅子乗車も可能とあったのだが、乗る以前の問題があるな〜と思っていたのだが、帰りに車椅子乗車可の理由がわかった。ケーブルカーから降りて階段で改札に行くことなく、裏から車椅子で出ることができるのだ。正しそこから下までは恐ろしく急な坂道を降りてこなくてはならない。職員が二人ついて車椅子をゆっくり坂道を下ろしてくれる。私も着いていこうとしたが、職員の一人が下で待っているように言ってくれた。
妻を下まで連れてきたところに今度は上りのケーブルカーに乗るために待っていた車椅子のお年寄りがいた。職員は今度はまたあのきつい坂道を車椅子を押してケーブル乗り場まで行くのだろう。1日に何度もこうしたことを繰り返しているのだろう。あのきつい坂道を押しての上り下りは安全面ではややしんどい部分もあるにはあるが、きっちり人間の手で車椅子対策を行っているのはとても有難いこと、素直に好感がもてた。
天橋立ビューランドは恐ろしくこじんまりとした遊園地である。ある意味笑ってしまいそう。イメージとしては昭和30年代のデパートの屋上にあった遊園地ののりである。一度は行って見ることをお勧めしたい。
しかしそれはそれでいいのである。遊園地は単なる付帯施設みたいなもの、ようは刺身のツマなのである。ここまで登って見る天橋立の景色が総て、そういう場所だからだ。そしてその景色は、確かに日本三景の一つといわれるだけのことはある。ある種の奇観ともいうべき美しき景色が眼前に広がるのである。

で、もってこれが所謂ひとつの股のぞきである。

というか、単に画像をひっくり返しただけなんだが。まあ竜が天に昇るように見えるかどうかは別として、とにかく素晴らしい景観だとは思う。
ビューランドでもう一つ好感が持てたのは、頂上に登ってすぐに年配の職員が我々のところによってきて「なにかあればすぐに呼んでください」と声をかけてくれたことだ。その声かけがなんていうのだろう、マニュアル化された感じが全然しないし、さり気ない感じでとても良かった。特に園内にいるときに困ったこともなかったけれどこういう声かけはとても嬉しかった。
ビューランドを降りてからは智恩寺にも行った。廻旋橋を渡って実際に天橋立を少し歩いてもみた。高速遊覧船の貸切で乗ってみた。10数分足らずで宮津湾をぐるっと回るだけだが、けっこう楽しかった。
遊覧船を降りたあたりから雨がポツポツと降り始めたので、当初は天橋立を半分くらい歩いてみようかと思っていたのだが断念して駐車場に戻った。それでもなんだかんだで4時過ぎくらいまで遊んでいた。車椅子を押しての移動なのでやっぱり時間はかかる。トイレ一つとっても身障者対応のトイレを探すところから始めなくてはならないとかもろもろある。それでもこの文殊エリアは、こじんまりとしているし、そこそこ施設もきちんとしているので、身障者を連れて遊ぶには適しているとは思った。
天橋立はまあまあ満足できる場所ではあったけれど、それではリピーターになるかというと、う〜んという感じだな。なにせ関東から出かけるにはいかんせん遠すぎる場所だし。関西に行く機会があってもここまで足を伸ばすとなるとたぶん二の足踏むことになるだろう。一度は行ってみたい場所ではあるが、二度目があるかどうかはクエスッション、まあそういう場所なんではないかと思う。