ローラ・ニーロ

先週辺りからまた引っ張り出して聴いている。我が家にあるのは3枚。昔、神保町のレコード屋で見つけて小躍りして購入したのがこれ。
ニューヨーク・テンダベリー
そしてこっちは昔大井町の図書館で見つけて借りてきて焼いておいたベスト盤の2枚組。
ザ・ベスト・オヴ・ローラ・ニーロ~ストーンド・ソウル・ピクニック
今では廃盤になっているのでアマゾンでも中古モノしか手に入らない。図書館でロックからジャズまで一括りに洋楽扱いされて並んでいるCDの棚の中からこの2枚を見つけた時には、びっくりを通り越して感動したものだよ。即効焼いておいたのは正解だったと思っている。著作権だのなんのといっても入手困難になってしまうのだから、焼く=コピーというのも必要悪みたいなものではと軽く自己弁護してみたくもなる。
で、このベスト盤を早速聴いてみようとするのだが、なんとCDプレイヤーで読み取れない。焦る。CDは確かサムソン製だったか、韓国はあかんか。駄目元でパソコンのCDドライブに入れてItuneでかけてみるときちんと再生できた。そこですぐにインポートしてから太陽誘電のCD-ROMに焼きなおす。CDプレイヤーにかけると見事に再生できる。ラッキーである。これからこういうことって増えてくるのかもしれないなとも思う。
早速、通して聴いていると、なんか涙目になっている自分がいる。メロディーラインにローラ・ニーロの歌声に妙にはまってしまっている自分がいる。なんだろう、我が心の琴線に触れてくるのだ。
ローラ・ニーロについてはこのへんが詳しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AD:TITLE
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/l-nyro.htm
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いろいろ教えられることが多いサイトがあるもので、ほとんど初めて知るような事柄も沢山ある。ローラ・ニーロについてはたくさん書きたいこともある。でもとりあえず今はひたすらこの一曲のことだけ。ベスト盤のVOL.1の4曲目に入っている「STONEY END」。この歌を聴いていると本当にしみじみとして、なんか泣けてくるのだ。昔からよく聴いていたけど、どちらかというと聴き流してきた部類の曲なのに。
なぜなんだろうな。曲の出だしも小節の途中から入って、なんとなくアフターというかダウン・ビート系な曲。それ以外はどちらかというと割りとありがちなポップな曲調。作家性のあるローラ・ニーロの曲の中ではどちらかといえば、売れ線狙いみたいな感じの曲だと思う。
5th・ディメンションが一番多くとりあげているのだろうけど、いろいろな歌手がローラの曲を歌っている。この「STONEY END」はバーブラ・ストライザンドが取り上げてそこそこにヒットしたらしい。でも聴き比べるとローラのほうが断然いい。そう、ローラはヒット・メーカーとして様々な歌手、グループに曲を提供したけれど、どの曲も実はローラ自身のレコーディングの方が圧倒的にいいと思ったりもする。そのへんがキャロル・キングとはちょっと違うかなとか思ったりもする。
「STONEY END」のことだ。こういう歌詞である。

I was born from love
And my poor mother worked the mines
I was raised on the Good Book Jesus
Till I read between the lines
Now I don't believe
I want to see the morning

Going down the stoney end
I never wanted to go
Down the stoney end
Mama let me start all over
Cradle me, Mama, cradle me again

I can still remember him
With love light in his eyes
But the light flickered out and parted
As the sun began to rise
Now I don't believe
I want to see the morning

Going down the stoney end
I never wanted to go
Down the stoney end
Mama let me start all over
Cradle me, mama, cradle me again
(Cradle me, mama, cradle me again
Mama, cradle me again...)

Never mind the forecast
'Cause the sky has lost control
'Cause the fury and the broken thunders
Come to match my raging soul
Now I don't believe
I want to see the morning
I was born from love
And my poor mother worked the mines
Going down the stoney end
I never wanted to go
Down the stoney end
Mama let me start all over
Cradle me, mama, cradle me again
Going down the stoney end...

最初の2行がなんかすごいと思う。
I was born from love
And my poor mother worked the mines
私は愛から生まれた。私は愛の結晶。
なのに2行目でいきなり、貧しい母親は炭鉱で働いていて。
幸せに生まれたはずの私は、たぶん母子家庭で貧しい境遇で育ったということがたった2行で語られちゃうのである。なんか凄くないか、この省略された表現って。たぶんローラ・ニーロという人は天性の詩人なんだろう。そんな歌詞をポップな曲の中で歌い上げてしまうところも凄い。
そして歌詞の中の女の子は恋に破れて炭鉱の町に戻ってくる。傷心な彼女はもう一度母親に子どもの時のように包まれ癒されたいと思う。たぶんそういう曲なんだろう。
Cradle me, mama, cradle me again
Going down the stoney end...
 母親にあやされたい、つつまれたい。この場合の母親は文字通りの母の愛情に包まれてと同様に故郷で癒されたいみたいなこともあるのだろう。炭鉱の町ストーニーエンドの谷で。
なんか「我が谷は緑なりき」みたいなイメージもあるのかもしれないな。
まあ理屈はいい、なんだかわからないがここ10日くらいか、ずっと「STONEY END」的な、あるいはローラ・ニーロ的な世界にずっと浸っている。
しかしつくづく聴いていると、この曲のポップな感じは当時、1960年代的世界では明らかにシュープリームスのノリである。明らかにそのへんを意識したアレンジになっている。とはいえどんなに流行のアレンジにしても、ローラ節というかローラ的世界なのである。
「STONYE END」は大御所のダイアナ・ロスでさえカバーしている。たぶんロスはローラ・ニーロのこの歌を聴いて、あらこの曲素敵じゃないみたいな感覚持ったんじゃないだろうか。あるいはもともと作曲家として出発したローラ・ニーロモータウンあたりで採用してもらえないかみたいな思いで作った歌だったとか、そんなことはないかな。なんかそういうエピソードとかあったりするとそれはそれで60年代的な神話みたいな感じで面白いとは思う。

 「STONEY END」をローラはほとんどライブとかで歌っていない。提供したバーブラ・ストライザンドへの対抗意識みたいなものもあったせいみたいな話を聞いたこともあったような、なかったような。なのでYoutubeでもこの歌を歌っている彼女の動画はまったく探せなかった。唯一レコードの静止画像でこの曲が流れるのを見つけたので貼ってみることにする。レコードはなぜか「ウェディンブ・ベル・ブルース」なのはご愛嬌かな。レコード会社は懐かしいヴァーブ。ローラ・ニーロはヴァーブのフォークウェイズというレーベルからデビューしたようだね。ちなみにこの画像のものは非売品のようだ。
ウィキペディアとか読んでみるとヘレン・メリルは叔母にあたるとか。面白いね、こういう意外なつながりは。そういえばヘレン・メリルはまだまだ健在でまもなく来日するんじゃなかっただろうか。彼女はもう80超えているはず。それを思うとローラ・ニーロの49歳での死はかえすがえすも残念なことだね。