愛子さん不登校

AERA3月15日号の記事「愛子さま不登校』の真相」以来、次期天皇のご息女プリンセス愛子が不登校を続けていることが明らかになった。この問題について東宮大夫の記者会見があり、さらにこれを受けて学習院側からの説明記者会見も行われている。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100305-602917.html
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100305-602918.html
これ以後、週刊誌では毎号この問題が大きく報じられている。
私が買ったもので先週号でもこんな感じである。
愛子さまいじめ学習院の『崩壊』文春3月18日号
「『愛子さま不登校の全真相」新潮3月18日号
「雅子妃はモンスターマザーなのか」現代3月27日号
おそらく日中のワイドショーでもかなり大きく報じられているのだろう。もはやいささか旧聞に属する話題なのかもしれない。そんななか愛子さんは雅子さんに連れられて1時間だけの登校を続けていることなども新聞に報じられている。
いや〜、なんでこんなことに興味があるのか。さすがにちょっと信じられない思いがあるからだ。仮にも次期天皇のご息女である内親王が、学校でいじめにあっているとか、その結果不登校になっているなんて。さらには本人にも実は問題があるのではないかといった話まで母親の適応障害という病状との関連文脈でひそひそと語られているのである。
これって一昔前では絶対にありえないだろうと思う。まあ普通に思うのが、なんで宮内庁側は記者会見で不登校の事実を発表したのか。その中で学習院初等科の中に問題行動をとる児童がいることまで明らかにした。仮にも皇族が通う学校で学級崩壊に近い状態があったことまで出てきているのである。
これには天皇、皇后からも「十分な配慮が必要」との意見が出されたともいわれている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100311-00000038-mai-soci
 やっぱり問題のすべては学習院にあるのだろうな。皇族が通学する特別な学校だ。さらには子女を通学させている一般の親御さんたちからすれば、私立の名門校であり、高い授業料を納めているのである。公立の学校では普通にありえる学級崩壊といった問題から自分の子どもたちを回避させるために、わざわざ高負担を承知で通わせているのである。これは納得できないだろうな。
話は戻るがそれ以上にとにかく皇族が通学する学校なのである。皇族を守る義務があるだろうにと思う。明治の頃にはここの校長だかを乃木希典がやっていたというそういう学校なのである。その時代だったら乃木さんは陛下に申し訳がないと、たぶん腹切っているだろう。明治天皇崩御に際して殉職した方だもの。それなのに、とりあえず現時点で誰も責任を取っていないように見受けられる。
問題行動のある児童も学校をやめていないらしい。それについては宮内庁側からの配慮という話もあるらしい。そして学習院でも誰も責任を取って辞めたという話もないのである。明治とまではいかないにしろ、戦前だったらどうなっていたか。いや昭和時代でもいまの状態はありえないだろうと思う。
だいたいにおいて記者会見で発表するなど言語道断なのである。この手の問題はうちうちに関係者を処罰し、なにごともなかったようにする、以上である。貴きあらせられる方がいじめに会うとか、その結果不登校になるなどということが普通に発表されることがあっていいのかどうか。
と、ここまで書いていて、まるで皇室大好き、天皇を崇拝する正しき日本人の一人みたいな風な発言しているな〜と柄にもなく思う。でも、以前から公言しているけど、私は基本的には共和主義者、「天は人の上に人を作らず」の人である。それ以上に天皇制はすべての悪しき日本的なものの象徴くらいにしか思っていない。といいつつ先代の昭和天皇のことはなぜか憎めないというか、ひそかに個人的な愛着を持っているのだが。
しかしそういうどちらかといえば反天皇制的な立場の私からしても、今回の愛子さんの不登校問題はいささかヤバイことなのではないかと思っている。なぜか、貴き方でなければならない皇族、プリンセスが、普通の子どもとまったく変わりない状態になっているということがだ。「なんだ愛子さんもうちの子と一緒なんだ」とか、「うちはまだあそこよりましだ」といった形で受け止められてしまう存在。それが皇室=王室的なものと合致するのかどうか。
戦後の天皇制は大衆天皇制、あるいは週刊誌のネタとなるような形で国民のアイドルという形で浸透してきた。神々しく、近寄れない存在ではなく、理想的な一家、幸福な家庭の象徴として親しみを感じさせる。それが戦後の皇室のあり方だった。
それがより先鋭化してしまったのだろうか、皇室はますます大衆化してしまい、一族の中にはアル中はいるわ。長男の嫁は跡継ぎを生めないという周囲のプレッシャーでノイローゼになっちゃうわ。さらにはようやく出来た可愛い女の子は多感なのかなんだかしらないが、いじめにあって不登校になるわ。なんかこれではより身近な、様々に問題を抱える一般大衆の負の部分を含めた、より現実的な象徴になってしまっているっていうことか。
正直に言おう、そういう存在になってしまっては、もはや皇室など必要じゃないということになる。伝統、国民統合の象徴、貴き存在、そういうものが形骸化して、隣の誰かさん的なものになってしまっては、そういうご一家を国の制度として維持していく必要、意味性はないのではないかと思うわけだ。
ただしそういう大上段の議論とは別にして、皇太子と雅子妃殿下には同情、シンパシーを感じざるを得ない。私自身も小学生の一人娘を抱える人の親だからだ。娘が1年生の時にはクラスが学級崩壊の一歩手前までいき、緊急保護者会とかにも出たことだってある。娘はとりあえずいじめにも遭わず、学校に行きたくないと言い出すことはなかった。今までのところはである。でもこれから中学、高校と続くなかで、いつそういうことにぶつかるか、そんなことはたぶん神のみぞ知るというところである。
愛子さんを写真やテレビで目にするたびに、その愛くるしい姿に心和ませることがよくある。歳がいってきたせいか、最近はよその子を見ていると、みんな可愛らしいなと思う、正直思う。赤ちゃんから3〜4歳の幼児にしろ、小学生の低学年の子どもたちにしろ、とにかく目に入ってくる子どもたちがみんな可愛いと思う今日この頃である。そんな心境の私からすると、可愛い愛子さんが子どもなりにつらい思いをしていること、その結果として学校にも行けないような気持ちになってしまっているということに、一人の親としてやるせない思いを持っている。
とりあえず天皇制とかなんとかは置いといて、問題が善処されることを切に願っている。