サリンジャー


29日だっただろうか、会社で何気にネット見ていたらいきなりこれが目に入った。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0129/TKY201001290001.html:TITLE
なんとも懐かしい名前である。死んだという話も聞いたこともなかったけど、とにかくまだ生きていたのかというのが率直な感想だ。91歳、大往生なんだろう。隠遁生活送っていた割には長命な気がする。けっこう健康的な生活を送っていたんだろうか。
幾つかの訃報記事に目を通したが、たいていこのポートレイトが使われていた。おそらく公式的なポートレイトはこれだけなのかもしれない。私は初めて目にしたのだが、どうもイメージとか異なる。なんだか優男にしたハンフリー・ボガートみたいだ。もっと神経質というか病的な感じの男のような印象があったのだが。
そしてこの人のJ・Dがなんの略なのかも実は知らないでいた。

ジェローム・デービッド・サリンジャー

それでJ・Dなのか。それならデービッド・サリンジャーでもいいではないかなどとも思わないわけではない。ちなみ70年から80年代にウェスト・コーストで活躍したAOR系のシンガー、J・D・サウザーはジョン・デイヴィッド・サウザー。まあどうでもいいことだけど。
永遠の青春小説『ライ麦畑でつかまえて』、実はどこが良いのかわからないまま読んだようにも思う。最初に読んだのが20代の前半。2回目に読んだのは30前後だったか。当然のごとくいずれも野崎孝訳である。なぜか2回ともハードカバーを購入してしまった。後に版元の白水社は新書版でも出版していて実はそれも持っていたのだが、今はそのどれもがなくなっている。たぶん何度目かの引越しの時に捨ててしまったのだろう。
この本の良さが分からないという読後感についていえば、たぶんこの本と出合うのがいささか遅すぎたということなのかもしれない。すでに学業を終えて仕事についている時分だったこともあり、どうにもホールデン君の彷徨が幼稚なものにも感じれたような印象が残っている。
現在書棚にあるのは2003年に刊行された村上春樹の新訳版だ。実はこれを読んでいない。出た時にすぐ購入して、野崎訳と対比させながら途中まで呼んだのだが、なんとなく忙しさとかもろもろあり挫折して今日に至るというところだ。著者が死んだということもある、これを契機にもう一度読んでみようかと、まあ今のところそういう気持ちはない。
やっぱり私の中ではとっくに終わっている作家の一人なんだろうか。