訃報がいっぱい2

・浅川マキ

心不全、67歳の突然の死。彼女を知ったのは1970年前後、中学生の頃である。だから67歳といわれても、なるほどと妙に納得してしまう。黒い衣装のある種異形ともいえそうな風貌、インパクトがあった。それにもまして歌である。ブルージーという以上に泥臭い、ブルースというよりもある意味演歌にも通じるものがあった。
深夜放送で「かもめ」や「夜が明けたら」などをよく聴いたものだ。深夜の3時過ぎ真っ暗な部屋の中で布団の中でイヤホンから流れてくる彼女の歌に、中学生の頃の私はなにを感じ入っていたのだろう。今となっては思い出すこともできないし、よもや思い出したとしても気恥ずかしさで思い出したことを後悔するかもしれない。暗い暗い少年時代のある種のメモワールである。
YouTubeで検索すると、とたんに検索できる。昭和47年、おそらく中津川フォークジャンボリーでのライブじゃないだろうか。全盛期の彼女である。彼女もまた我々の記憶の中で、またネット上のアーカイブの中で永遠に行き続けていくのである。