国立でジャズを楽しむ

8日の金曜日のこと、友人に誘われてわざわざ国立のジャズ喫茶へ出かけてジャズ・ライブを楽しんだ。国立という駅というか町というか、ここはたぶん始めて訪れる場所だ。高校や大学がたくさんある文教地区として名高いところ。なんとなくハイソなイメージの町だ。
私の場合、地方都市(国立が地方になるかどうかは別にして)というのはすべて本屋との記憶と連関している。何年か書店営業をしていたからか町というと必ず○○書店があるところという認識から入る。実際に営業として訪れた場合はその書店の雰囲気や対応と町の記憶が常にシンクロする。親切で熱心な書店員がいた本屋の記憶があれば、その町には良好な思い出がある。けんもホロロな対応されたり、それこそ喧嘩まがいのひどい記憶があれば、本屋=その町の印象と重なったりもするわけである。
国立といえば私的にはイコール増田書店ということになる。友人と駅で待ち合わせてすぐに、とりあえず増田に行ってみようということになった。増田書店には営業で訪れたことはない。電話とかで対応した記憶では割としっかりとした担当がいるところという印象があったけど、それもずいぶんと昔の記憶だから現在どうかはまったく定かではない。
増田書店は路面店だ。それもなんとなく思っていた印象とは異なった。1階はまあ普通のファミリー向けのいかにも町の本屋さんという感じである。地階が専門書系のようだ。あまり時間がなかったので人文書のコーナーをほとんどチラ見した程度だったけど、なかなかに古き懐かしい書店の匂いがプンプンとしてくる良いお店だったかな。時間は7時台ということもありお客もまばらだったけど、こういう本屋がある町というのはきっと良い町なんだろうなと勝手に思い切る。
脱線である。ジャズの話である。お店はNO TRUNKSというところである。
国立NOTRUNKS | "JAZZ & SPIRITS" MUSIC DINING BAR 国立駅徒歩5分国立 NO TRUNKS
昔のジャズ喫茶の雰囲気がありつつややオシャレ系な店という感じ。HPの店主のプロフィールには吉祥寺の「メグ」の初代サラ回しをやり、長く新星堂でジャズを販売してきつつ、様々なジャズのイベントに関わり、若いジャズ・ニュージシャンを後援してきた方らしい。長くジャズのレコード、CD販売に従事して後にジャズ喫茶の店主となる。なかなかに魅力的な人生ではないかと思う。ただしジャズ喫茶がどうみても儲かる商売とはいえそうにないので、実際にそっち方向に進みたいとは考えにくいことではあるけど。
ライブは8時から2セットあった。演奏したのは松風鉱一sax&小森慶子sax・clの師弟コンビ双頭バンドというものだった。他にドラム、ベース、ピアノのクインテットである。演っているのは一見フリー系、変拍子もあり。
まず小森慶子のクラリネットの少し怪しい音色から入ってくるのだが、私の乏しい知識からの第一印象としては、「アっ、ドルフィー」みたいな感じである。この女性はクラリネットとアルトサックスとか演るのだが、どうしてどうしてなかなかに魅力的な音を聴かせてくれる。吹き方もちょっとコミカルというか独特の楽しい動き。年齢はたぶん40代あたりかな〜と、やや年齢不詳気味である。基本美人系でショートの髪型からのイメージは20くらい年がいった木村カエラというところかな。とにかくかっこいいパフォーマンスで、けっこうファンになったかも。
小森慶子のページにようこそ! keiko komori's WEB SITE!
相方の松風鉱一はガタイのいい角刈りのオッサン系である。1948年生まれだから還暦を迎えているのだが、なかなかにカッコの良いおっさん風である。
サックス・フルート・クラリネット個人レッスン講師 松風鉱一プロフィール|HOT MUSIC SCHOOL | 東京・秋葉原の完全個人レッスン制音楽教室
こういうガテン系でフリージャズをやるというのは、なんつうかジャズ的には'よくアル’、’アルアル’的だと個人的には思う。松風氏には失礼かもしれないが、この手はイメージとしては坂田明のフォロワーという括りを個人的にはしてしまう。
音楽的にはフリー系といいつつもそれほど緊張感があるというわけでもなく、けっこうリラックスしながら楽しめるライブだったと思う。ずっと寝不足が続いていたのでバラード系の曲のときには遠くの方へ行きそうにもなったくらいまあ心地良く、心に染み入るライブだったかな。
こういう音楽を聴いていると、まあ単純に日本のジャズ・シーンにおけるコルトレーンの影響の幅の広さみたいなものをシミジミ感じたりもする。きわめてトンチンカンな感想かもしれないけど。
でもとにかく楽しい一時を過ごすことができたかな。