妻のバス旅行

前夜深酒する。まず新人の歓迎会が9時くらいまであったか。それを1次会で退散して、一人で江奈へ退散する。ここのとこひいきにしているジャズ焼鳥屋である。ここではライブが入っていてちょうど盛り上がっているところ。ただ技術的には少々難ありのライブだったので、若干盛り下がり気味で演奏者には失礼だったかもしれないが、本など読みつつBGM代わりに聴いた。まあどんな聴き方しても自由だとは思う。自前の金で自前の酒飲んでいるのだから。
ライブ終了後なんとなくマスターやら他の客とアホ話していたら、気がつけば午前様。まあいつものパターンではあるが完全に酒が過ぎた状態である。翌日休みだしと軽い気持ちで考えていたのかな。でもそうは簡単ではなかった。
妻が友人とバス旅行に出かけることになっていた。8時に所沢で待ち合わせてそのままバスに乗り込むというので、妻を送っていくことになっていた。なんでも観光場所は栃木方面で、宇都宮餃子食べ歩きと苺狩りとかというバスツアーなんだとか。ほんとうに行けるのかと若干心配でもあったが、一緒に行く相手がそこそこ気心が知れた相手だったので、妻の世話を含めて甘えてしまおうとも思った。何よりも妻が行きたがっていたから。それでも最初は電車で所沢まで行くというのを、朝も早いからさすがにちょっとと思い送っていくことにした。さらにバスツアーとなると集団での移動となるだろうから、車椅子があったほうがいいだろうとも思い、とりあえず車で送っていく。車椅子も持っていくから、ツアーでの移動には友だちに押してもらうようにと妻には言い聞かせた。
それで2時近くに帰宅してすぐ寝たのだけど、妻に6時ジャストに起こされる。妻のリクエストで妻を風呂にも入れる。7時過ぎに車で家を出る。正直、頭ガンガンの状態ではあったがそれでも8時ジャストに所沢に着いた。妻の友人に頭を下げ、バスツアーの添乗員にも礼を言って妻を見送る。それから即効帰宅してまたベッドにもぐりこんだ。そういえばもう一人、我が家の姫君である娘はというとただただひたすら寝入っている。春休みの午前中はずっと眠り姫なのである。
昼過ぎ1時過ぎにようやく起きると娘はシャワーを浴びている。たしか2時過ぎには塾に行かなくてはならない。あわてて朝飯ではなく遅い昼食を作って食べさせる。娘を見送ってから、二日酔いもなんとか回復基調なので、若干風邪気味ではあったが気合でジムへ出かける。きっちり2時間半くらい汗かいてから帰宅する。
それから娘を連れて飯食べに行く。娘の大好きな回転寿司である。春休みの土曜日なので異様に込んでいる。45分くらい待ってからようやくカウンター席に案内される。二人で思う存分食す。こっちも600カロリーくらいは消費しているからけっこう空腹である。娘に負けないくらい食べる。なんのために体ヒイヒイいわせているのか。まあそれはおいといて。
妻は所沢に戻ってから友人と食事をするから10時過ぎに迎えにこいと言っていた。8時半過ぎに一度、ちょうど所沢に着いたというTELがあったので、買える間際に電話してこいと言いおいた。それで10時少し前に車に乗り込んだ。一応娘に一緒に行くかと声をかけると、「留守番してる」の一言。まあそういうものだ
10時半頃に所沢に着く。駅前のロータリーに乗り付けると、やや遠目に妻と友人を発見する。妻はけっこうな荷物を膝にのせている。聞けば行きにお土産を買うために大洗の市場に寄ったのだとかで、やれ干物やらなにやらの海産物を買ったのを発砲スチロールのトロ箱みたいのに入れてあり、それを膝の上ののせていた。とにかく時間も遅いし、一時停車だったのですぐに土産物や車椅子を載せ、友だちに礼を述べて妻を車に乗せた。
帰る途中で妻はとり止めもなくその日のことを話し続けていた。宇都宮での餃子の食べ歩きのこと。苺狩りでたらふく苺をたべたこと。大洗でたくさん土産物を買ったことなど。途中で話が途切れるといつの間にか眠ってしまっていた。とにかく楽しい一日を過ごせたようだ。それほど極端に友だちに負担をかけたわけでもなく、大きな失敗もなく一日を過ごせた様子だった。
今度は家族で行きたいと妻は何度も繰り返して話していた。まあ良い一日だったのだろうと。でも早朝と深夜、こうして送迎しなくてはならない自分自身のことを思うと、心の底から歓迎できるわけでもない。それでもこうやって妻が友人と日帰り旅行に出かけるというのは、まあ良いことではないかなとは思う。そうやって行動範囲が広がることは、そのまま彼女の生活が広がるのだとは思うからだ。そのためには二日酔いで少々頭ずきずきでも見送りもするだろうし、夜遅くでも迎えにいくのもいたし方ないということなのだろう。妻は「来週もまた友だちと飲む約束したからね」と言う。それもまた僥倖、まあそういうものだ。