村上春樹の最新長編小説

今日の朝日の朝刊の読書欄をくくっていたら何気にこんな文字が飛び込んできた。

村上春樹の最新長編小説、初夏刊行決定!
A New Novel by Haruki Murakami

新潮社の前五段広告の真ん中辺りにこの文字だけ。それも周りの書籍の広告とは異なり余白を大きく残して比較的小さい活字で。それだけに逆に目立つ。
ネットでもいろいろ検索してみたが、まずは新潮のサイトではこんな風。ようは新聞広告と一緒でコンテンツ、付帯情報は一切なしの予告広告である。
村上春樹『1Q84』 新潮社公式サイト
その他掲示板とか個人サイトとかを一通りぐぐってみたのだが、ほとんど情報らしい情報がない。「アフターダーク」以来となるので5年ぶりの長編になること、おそらく「ねじまき鳥」を超えるこれまでで一番の長編小説になるらしいこと、「アフターダーク」同様三人称で書かれているらしいこと、恐怖小説、あるいは恐怖がモチーフの一つになっているらしいこと、などなどの断片情報が噂のように飛び交っているようなのである。
とはいえこのような予告がでるのであるから刊行されることはまちがいないのだろう。おそらく今は最後の著者校が念入りに行われているのだろうと推測する。これが終わり最終校があがったら、小出しに情報が出てくるのだろう。マーケティングをけっこう重視している村上春樹のことだから例によって小説告知のための期間限定サイトとかがまた立ち上がるのかもしれない。いずれしろ楽しみなことである。
ヴォネガット亡き後、出たら必ず買う、読むという作家は、もはや村上春樹だけなのである。彼だけはおそらく一生つきあっていく、あるいはついて行く、文字通りフォロワーであり続けるだろう作家なのだから。しかし今回はどんな風なんだろうな。どこかの掲示板にそれこそ今度の小説の長さは「カラマーゾフ」に匹敵するのでは、などという予想まででていた。それはないだろう。
もはや国内だけでなく世界的にも注目される作家になってしまった村上春樹である。それこそノーベル文学賞にもっとも近い日本人作家なのである。楽しみである。でもね、ファンというものはね、実を言えば失敗作でもいいの。失望とかはたぶんしないと思う。彼の新作が出る、それを読んで享受できるということだけで幸せなんだから。